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スペシャル・リポート from 東京:Mama I Want To Sing ママ・アイ・ウォント・トゥ・シング日本ツアー大成功のうち終了!

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Mama I Want To Singの1ヶ月に渡る日本公演が大成功のうちに1月5日をもって終了しました。初演から30周年、初来日から25周年という記念すべき来日公演。ツアー後半の会場は東京六本木のアミューズ・シアター。元ブルーマン・シアターという、あのブルーマン・グループが2年間に渡りロングランした場所、つまり本格ミュージカルのパフォーマンスのために作られた劇場なんです。

開演直前続々とつめかけるお客さんにまずびっくり。何せハーレムのデンプシーシアターにやってくるのは90%以上がアフリカン・アメリカン。近隣の教会からバスを連ねてやってくるクリスチャンが主流で、まるで日曜日の教会に来ているような気分にさせられるのだけれど、当然東京のお客さんはまったく違う。親子連れ、若いカップル、女子のグループ、私のように25年前の東京公演を見たという年季の入った?音楽ファンなど、あらゆるタイプの日本人でシアターは埋まっていました。

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Roppongi Amuse Theater

いつものとおり元ラジオDJでもあるプロデューサー、ヴァイ・ヒギンセンのドラマチックな語りでミュージカルがスタート。彼女が登場するDJブースは2階建てで、これはデンプシーよりもかなりグレードアップ。他のステージセットなどはハーレムと同様ミニマルでシンプルでしたが、照明は白を中心に東京風にかなりあか抜けた印象。衣装もいく分グレードアップしていたような・・・

しかし内容の素晴らしさはまさにハーレムがそのまま東京にやってきたかのよう!
主役のノエル・ヒギンセンは1ヶ月に30公演以上というハードスケジュールをこなしているにもかかわらずベストコンディションをキープ。6オクターブのアンビリーバブルな音域と豊かな声量を確かなテクニックであやつり、客席からはため息の連続。クワイアを構成するハーレム・ティーン・クワイア(ゴスペル・フォー・ティーンズ)がまた素晴らしい。彼らにとっては初めての海外公演。初々しさの中に自身が生まれますますパワフルに。成長したんだなーと思わず嬉しくなってしまいました。

Mama I Want To Sing in Tokyo

Mama I Want To Sing in Tokyo

そして気になるのはお客さんの反応。ハーレムの観客は即座にステージにエンゲージ、彼らの一挙一動、言葉の一つ一つに反応し、「ハレルヤ」「エイメン」とステージ客席が一体になって一つのパフォーマンスを繰り広げるけれど、果たして東京のお客さんは?
はっきり言って最初は様子をうかがっている感じ。ステージ両側に字幕があり、それを読むのも忙しかったのかも。でもだんだん体と心が暖まって来ているのが目に見えてわかる。そしてラストにキャストが登場し大合唱になる部分、ハーレムならここで観客総立ちになっていっしょに歌い踊る場面。その瞬間ノエルがハキハキした日本語で「タッテクダサイ!」と連呼すると次々にみんなが立ち上がる。続いて「日本人にもゴスペルを歌う人がたくさんいると聞いています。この会場にもゴスペルシンガーがたくさんいるでしょう? ステージに出て来てください。もし来ないならこちらから迎えに行きます!」と言った瞬間、キャストたちが客席に突進! 私も目の前に走って来たミュージック・ミニスター役のイライジャに「オーメグミ!来てたのかー」ととっつかまりステージに押し出されてしまいました。
ステージの上では「初めましてー」「久しぶりー」のハグ&キス大会。そして定番「This little light of mine」の大合唱。その瞬間客席を見ると、総立ちとなったお客さんの満面の笑顔、笑顔、笑顔!!

Autographing Session

Autographing Session

そしてショーが終わりもうニコニコのお客さんといっしょにロビーに出ると、既にキャストがテーブルに並んで待機。CDとプログラムを買ったお客さんに一人一人丁寧にサインするというハーレムスタイルをここでもきっちりやっている。暖かい一体感がここでも続いていました。

ママ・アイ・ウォント・トゥー・シング・イン・ジャパン。ゴスペルが運ぶ愛と音楽の素晴らしさ、暖かさは世界中どこに行っても変わらない。それがちゃんと伝わることを確信できた一夜でした。

(シェリーめぐみ)

「ママ・アイ・ウォント・トゥー・シングMama I Want To Sing」日本公演間近!

Elijah Lewis

Elijah Lewis

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25年振り日本公演 ”Mama, I Want To Sing” Japan Tour

日本にお住まいのみなさんに嬉しいニュース!

ママ・アイ・ウォント・トゥー・シング」の日本公演が決定、124日、東京の「東急シアター・オーブ」にて初演をむかえることになりました。

クリエィターのヴァイ・ヒギンセンの姉、ポップRBシンガーのドリス・トロイの成功物語としてハーレムの人たちに親しまれてきた「 Mama, I Want To Sing”」、私たち「ハーレム2ニッポン」で積極的に紹介してきた甲斐があってか、ニューヨークの日本人コミュニティの間でも広く知られるようになりました。30周年記念公演として日本行きが実現したことはとても喜ばしく思います。この機会にぜひ、ハーレム・ゴスペルを体験してみて下さい。チケットは3000円から、お手頃なハーレム価格でご観覧いただけます。

公演スケジュールなど詳細:mama-i-want-to-sing-japan.com/

Special Report “ママ・アイ・ウォント・トゥ・シング/Mama, I Want To Sing” 30周年記念ガラ祝賀イベント

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Dionne Warwick, CIssy Houston, Vy Higginson

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ブラック・ミュージカル、Mama, I Want To Sing

30周年記念ガラ祝賀イベントReport

ゴスペル音楽をテーマにしたハーレムのオフ・ブロードウェイ・ミュージカル、「ママ、アイ・ワント・トゥ・シング」が初演の1983年より30周年を迎え、3月23日、スペシャル・ガラ・イベントを開催しました。

まずはレッド・カーペットにて、報道陣のための撮影会が行われました。主宰者のヴァイ・ヒギンセンからゲストとして招かれたホィットニー・ヒューストンの母親、シシー・ヒューストンディオンヌ・ワーウィック、ヴァレリー・シンプソン、アンジー・ストーン、チャック・ジャクソンなどのゴスペル出身アーティストが続々駆けつけてくれました。ハーレムの有力者、政治家のチャールズ・ランゲル、次期NY市長選に出馬するジョン・ルー、NY市議会議員アイネス・ディッキンス女史なども姿を見せ、ハーレム・コミュニティーの連帯をアピールしました。

なぜか、ヒップホップ世代の代表、元ロッカフェラでジェイZのパートナーだったディモン・ダッシュの姿も….。

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Gospel For Teens

メディア取材のあとはショー・タイム。この日はいつものショーではなく、「ママ、アイ・ワント・トゥ・シング」「シング、ハーレム・シング」の2本のミュージカル短縮バージョンを上演するという、この日のために特別に趣向を凝らしたパフォーマンスが繰り広げられました。いずれのミュージカルもクワィアーのシーンは「ママ・ファウンデーション」のプログラムのひとつ、ゴスペル・フォー・ティーンズのメンバーたちが参加しています。

ゴスペル・フォー・ティーンズのパフォーマンスのフィナーレではヴァイの音頭でゲストがみんなステージにあがって大合唱。 楽曲は誰もが知っているゴスペル曲 This Little Light Of Mine。アンジー・ストーン、シシー・ヒューストン、ヴァレリー・シンプソン、そしてトリはデォオンヌ・ワーウィックが飾りました。リハーサルなしでみごとに歌い上げるあたり、やはり即興で鍛えられたゴスペル出身の実力派の強味と言えます。

ハーレム2ニッポンではヴァイ・ヒギンセンの運営する非営利団体、「ママ・ファウンデーション」プロジェクトをずっと支持してきました。ブラック・コミュニティー発展のために多大な貢献をしているのと、私たち日本人にとっても素晴らしいカルチャーに接する機会を与えてくれたからです。ショーを構成する若いクワィアー・メンバーたちのソウル炸裂は衝撃的です。アメリカで最もロングランを続けているゴスペル・ミュージカル、「ママ・アイ・ワント・トゥ・シング」をまだ観ていない人はこの春公演を是非体験してほしいと思います。

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Valerie Simpson, Cissy Houston, Dionne Warwick singing together on stage

誕生までの軌跡

ショーのプロデューサー、ヴァイ・ヒギンセンは、父が牧師、母も父の教会の手伝いをしていたという信心深い家庭環境に育ちました。ゴスペル出身でポップの世界で大スターになった年の離れた姉、ドリス・トロイはヴァイの羨望の的でした。ドリスの物語を作ろう、ヴァイはゴスペル音楽をミュージカル仕立てにしたショーをプロデュースすることを思い立ちました。1979年のことです。当時つき合っていたKen Wydro(現在のご主人)と脚本を考え、ブロードウェイ・ミュージカルとして制作/公演をしてくれるところを片っ端からあたりました。ヴァイのビジョンを理解してくれる人は残念ながらいませんでした。

ヴァイはニューヨークのメジャー・ラジオ局でディスク・ジョッキ−をしていました。黒人女性としては初の抜擢でした。夫となったケンとヴァイのふたりの貯蓄をはたいて「ママ,アイ・ワント・トゥ・シング」の幕を開けたのは1983年3月25日、イースト・ハーレムにあるヘクシャー・シアターでした。ジョー・パップのニュー・ヨーク・シェイクスピア祭りで使われたのが最後で15年ほど廃墟状態、ドアのロックを開けた瞬間、たまっていたホコリが落ちて来る、そんな劇場でした。座席数は632、「ここを地元のお年寄りや教会のメンバー、子供達、働く母親や父親たちでいっぱいに埋め尽くそう!きっと実現できる。」ヴァイには観客で満席の劇場が目に浮かびました。ほとんど宣伝費もかけず口コミに頼るだけでしたが、その評判はすぐに広まり、定期公演できるまでに成長したのです。

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Vy Hgginson, Knoelle Higgison-Wydro, Ken Wydro

30年の間には世界各地をまわり公演をしました。ゴスペルを知らなかった人たちにもこのミュージカルを通して伝えることができたのは貴重な体験でした。

ミュージカル公演だけでなく、出演者も育てていこうと思いつき、1998年に非営利団体「ママ・ファウンデーション」をたちあげました。2006年にはハーレムのティーン男女対象にゴスペル指導クラス「ゴスペル・フォー・ティーンズ」無料プログラムを導入、実力のあるメンバーをアフリカン・アメリカン・ミュージカルにどんどん登用していこうというものです。地域の活性化にもつながり、若者の非行を防ぐというダブル効果を生み出したヴァイの活動にCBSテレビが着目、「60ミニッツ」で取り上げ、彼女の貢献は全米で知られるようになりました。その結果、献金も集まり、NY市議会でもアイネス・ディッキンスの働きかけで「ママ・ファウンデーション」に助成金が出ることが決まりました。

→レポートは次回に続きます

(伊藤弥住子)

「ママ、アイ・ワント・トゥ・シング」の春の公演は3/16より5/11まで、毎週土曜日5時開演。チケットは35ドル。「ママ….」のオフ・シュートと いえる、ミュージカル、「シング,ハーレム,シング」も5/4までデンプシー・シアターにて上演中。こちらもソウルフルなブラック・ミュージックが楽しめます。The Dempsey Theater 127 West 127th (between Lenox & 7th Avenues)
詳細はページ左上の情報、または
http://www.mamafoundation.org/mama-i-want-to-sing.html

This Friday(12/7) Gospel For Teens Holiday Benefit Concert ゴスペル・フォー・ティーンズ・ホリデー・ベネフィット公演!

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世界いちフレッシュ&ソウルフル!!ハーレムのクワイア、ゴスペル・フォー・ティーンズ!!のベネフィット・コンサート!

300人のNYシティ・キッズが無償で音楽教育を受けているヴァイ・ヒギンセンVy HigginsenのMama Foundation主催、Mama I Want To Singにも出演中のゴスペル・フォー・ティーンズのベネフィットコンサート12月7日(金)開催!

今年はクワイアの新メンバーに加入したばかり14歳の日本人シンガーMIREIも参加! オンラインチケットはここから

December 7th
Dempsey Theater in Harlem (127 W127th St)

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