Jado Sushi’s Owner, Mr. Nobu Interview 「邪道寿司」オーナー, ノブさんのこだわり
ハーレムに寿司屋をオープンする勇気のある人なんかいるはずがない、という私たちの予想をみごとに裏切って、「邪道寿司」が昨年の夏、フレデリック・ダグラスの114丁目にオープンしました。ハーレム初の日本人経営の寿司屋です。そのオーナーのノブさんとは一体どんな経歴の持ち主なのだろうか…….。本格的寿司レストラン「Jado Sushi」がハーレムに誕生するまの経緯をぜひ知りたい…….、その願いが叶ってオーナーの大津ノブさんにお話を聞かせてもらうことができました。以下、インタビューをお届けします。
H2N: ハーレムにいきなり寿司レストラン「邪道寿司」をオープンしましたがなぜ? これまでも飲食店を経営されていたんですか。
Nobu: アッパー・ウエストに住んでいたのですが家賃が異常に上がってしまって、8年前にハーレムに引っ越してきたんです。まわりに何もないんです。ハーレムにはまだまだビジネス・チャンスがいっぱいあるなぁと思いました。 私はワイン好きなのですが近所にワインの店がなかったんです。それで2007年にワイン・ショップ、「ザ・ワイナリー」をオープンしました。四畳半くらいの小さい店です。私は飲食店の経営はおろか、レストランで働いたことさえありませんでしたが、小さくやれば失敗しないものですよ。今の「ザ・ワイナリー」は引っ越して広くなりました。 近所においしい和食とワインが飲める気軽なお店があったらいいなぁと思ったのがきっかけで寿司屋をオープンしたんです。トレイベッカに辻料理学校が経営する「Brush Stroke」とかあるけど超お高いし…..。ハーレムには日本食レストランがないので、寿司屋が必要だって確信しました。それも、誰かがやる前に自分がやらないと……と思ったんです。ところが店をオープンしてやり始めたら問題だらけ……..。こんなことだと知っていたらやらなかったんじゃないかと思いますね(笑)。
H2N: でもこんなに素敵なお店だし、お客さんもついていて繁盛しているし、素晴らしいですね。飲食業の経験がないとのことですが、ノブさんはもともと何をしていらっしゃったんですか。
Nobu: 私は東京でデザイナーをしていました。広告会社で好きな分野でしたし、バブリーな時代でとても楽しかったんです。でも、同じことばかりしていてもダメだし、もともとインテリア・デザインが好きだったので、本格的に学ぼうと思い立って1985年にニューヨークに来ました。え、どうしてNYかって? そりゃ、NYがアートでも建築でもビジネスでも一番だから。学校に入って振り出しから勉強して、卒業後インテリア関係の会社に務めたあと独立しました。商業デザインが好きだったのでヴィジュアル・マーチャンダイズに興味を持ちました。視覚に訴えるデザインです。F.I.T. でパッケージ・デザインのコースを教えていたんですよ。ここのお店でも、料理の盛りつけや店内の照明など、私の経験が生かされています。
H2N: なるほど。「Jado Sushi」がユニークで遊び心があるのはノブさんのようなアーティストがやってらっしゃるからなんですね。メニューも当然ノブさんが考えたんですよね。
Nobu: そう。シェフの方々に「料理は本格的な和食、盛りつけはフレンチで。」とお願いしました。だから食器も料理が映える白に統一しています。すべてパッケージ・デザインのコンセプトと同じです。美味しいものを美味しく見える演出をする。店内の照明はその重要なカギといえます。人間は無意識のうちに品定めをしているんです。たとえば、店内全体が白熱灯で煌々と輝いていると視点を定めることができない、落ち着かないんです。ところが間接照明でスポット・ライトをところどころに配置すると目にやさしい。心が安らぐんです。
H2N: え、そんなトリックがあったんですか。知りませんでした。ノブさんのお店のカルフォルニア・ロールは本物の蟹を使っていて感動しました。お客さんの反応はいかがですか。
Nobu: 日本人のお客さまはみんな感動してくれるんです。アメリカ人はあまり気にしていないようですが(笑)。うちのお薦めはポーク・リブ、ベスト・セラーです。柔らかくて最高ですよ!あとシー・スキャロップも人気があります。
H2N: 「 Jado Sushi」をオープンする際の資金はどのように集めたんですか。スポンサーとかいるのでしょうか。
Nobu: 全部自己資金。だからタイヘンです。
H2N: それは凄い!飲食業界での経験もなく、スポンサーもつけずにご自分で全部やったんですか〜。それも、ハーレムで!とても無謀に思えますが、それを実現してしまったノブさんは本当に凄い方ですね。
Nobu: 何も考えていなかったからできたんです(笑)。
H2N: 「邪道寿司」の板前さんは日本から連れてきたんですか。
Nobu: 現地調達です。新聞広告とかで来てもらいました。ウェイターの人たちはほとんど地元の知り合いとかですね。でもちゃんとその道のプロです。美味しい料理、美しい盛りつけ、くつろげるインテリア、行き届いたサービス、それが「Jado Sushi」のモットーです。みなさん、気軽に遊びに来て下さいね。
H2N: はい、また来ます。ノブさん、今日はありがとうございました。
私もここのメニューはいろいろ試してみましたがどれも美味しいです。先日はBento Box を注文してみました。塗りのボックスに寿司3カン(まぐろ、サーモン、はまち)と天ぷら(海老、椎茸、レンコン)、サーモン照り焼きが美しく盛りつけてあります。サラダかスープのチョイスつきでお値段は25ドル。彩りも美しくとても癒されます。
ホームページでメニューをチェックしてみて下さい。
(伊藤弥住子)
Jado Sushi
2118 Frederick Douglass Blvd, NYC 10026
(bet 114th St. and 115th St.)
(212) 866-2118 MAP