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All Eyez on Me Directed by Benny Boom opens on Friday, June 16

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Tupac Shakur’s bio pic “All Eyez on Me” is the true and untold story of him (Demetrius Shipp Jr.), from his early days in New York to his status as one of the world’s most recognized and influential voices. Against all odds, Shakur’s raw talent, powerful lyrics and revolutionary mindset establish him as a cultural icon whose legacy continues to grow long after his death.

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全米ナンバーワン!!N.W.A.ドキュメンタリー映画 絶賛上映中!

Straight Outta ComptonN.W.A. Biopic “Straight Outta Compton”

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ヒップホップ・ファンなら是非見てほしい映画が「ストレート・アウタ・コンプトン」です。80年代後半、ウエスト・コーストのコンプトン在住の若者のラップ・グループ、NWAの誕生から大成功するまでを追ったドキュメンタリーです。8月14日に公開されて以来大反響、2週連続全米ナンバーワン!毎日記録を更新中。

Spoiler Alert まだ見ていない人はこの先読まないでください。

O'Shea Jackson Jr
ハイライトがいくつかあって、まずキャスティングが素晴らしい。N.W.A.のメンバーのうち、アイス・キューブを演じているのが実の息子、オシェイ・ジャクソン・ジュニアです。顔や表情が似ているだけでなく、しっかり演技ができているのが凄い。そして、イージーEを演じる役者(ジェイソン・ミッチェル)が、顔はまったく似ていないのにヴァイブが強烈で、最初は違和感があったのに、だんだん惹きこまれ、エイズで死ぬ場面はもうすっかりイージーE本人として感情移入してしまったほど。当初、イージーEの息子、リル・イージーEが父親の若い頃を演じることになっていたそうですが、どうも演技力不足だったらしく、降ろされてしまったそう。ドクター・ドレ役のコーリー・ホーキンスもDJオタクなドレを見事に演じて、マル。

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ドレがプロデュースした「カルフォルニア・ラヴ」のレコーディング風景が見もの、2パックがスタジオでヴォーカルを録るシーンでは鳥肌がたちました。そっくりなんです。2パックのスタジオでの生前の映像をはめ込んだのでは、と思ったほどです。実は演じた俳優のマーク・ローズはすでにジョン・シングルトン監督の2パック・ドキュメンタリー映画の主役に抜擢されたのだそう。このシーンを見るだけでも価値がある…….?

2pac-singleton-thumb
冒頭のシーンでいきなり戦車がクラック・ハウスに突っ込み、家を破壊してしまいます。ドラッグ戦争のさなか、実際にロスアンジェルスの住宅地で起きていた取り締まり手段なのですが、あまりの残虐なやり方に警察に対しての嫌悪を覚えます。別な場面では、N.W.A.のメンバーたちがレコーディングの際、ブレイクをとって外でソーダを飲んだりしている時、パトロール中の警察に遭遇、理由もなしに全員地面に叩き付けられ取り調べられます。コンプトンのブラック・ティーンと警察とのいびつな関係が浮き彫りに……..。アイス・キューブが「ファ**・ザ・ポリス(警察なんか糞くらえ)」とラップしたくなるのもムリないよね、と思わせられます。

Corey Hawkins
1988年にリリースされた、N.W.A.の “F**k Tha Police” はアメリカ社会に大きな衝撃を与えました。地元の警察LAPDから嫌がらせされたり、音楽が暴力的過ぎるとボイコットされたり……。メデイァからは「ギャングスター・ラップ」というレッテルを貼られ、銃を振りかざして暴力を糾弾されます。それに対して、メンバーたちは「オレたちの住む環境が暴力的なだけで、オレたちは自分たちの経験をただラップしているだけ。」と反駁します。事態はさらにエスカレートしてFBIから抗議の手紙がきます。白人マネージャーはオロオロするばかり……….。アメリカ政府が介入してきたら一大事だ、とメンバー達に自粛を勧めます。ゲトーのギャングあがりのイージーEはビビるどころか、不気味な笑いを浮かべ、「FBI………? ふふん、面白いじゃないか。いっちょ、これを公表して大々的に宣伝しよう。」と提案、思惑通り、N.W.A.の名前がアメリカだけでなく世界中に轟くことになります。折しも、ロドニー・キングが複数の警官に暴行されたビデオ・テープがニュースで世界中に流れ、ゲトーの黒人と警官たちとの関係は悪化の一途をたどり、とうとう暴動へ発展、50年前のワッツ暴動を彷彿とさせます。黒人たちへの偏見がなくなるどころか、現在でも警察による暴力事件が起こり続けていることを考えると、25年以上経った今でもN.W.A.のメッセージは古さを感じさせません。タイミングの良さも手伝って映画は大ヒット中。

NWA
「Straight Outta Compton」は社会批判だけでなく、ヒップホップの重要な要素、「パーティー」のシーンもふんだんに登場します。グルーピーの女性たちがただのセックスの道具にしか描かれていないのが気になりますが、当時(今でも?)ゲトーの女性たちは、「男は金」としてしか見ず、成功した男に群がるのですからお互い様なのかも知れません。

Straight Outta Compton - Cast監督はアイス・キューブの初期のPVを手掛けたF.ギャリ―・グレイで、キューブとはバカ受けしたコメディ映画「フライデー」でも一緒に仕事をした仲間です。カルフォルニア出身で、コンプトンの事情にも通じたベテラン監督なので撮影もスムーズにいったようです。物語はイージーE、アイス・キューブ、ドクター・ドレの3人に焦点を当てています。脇役としてシュグ・ナイト、スヌープ・ドッグなどが登場しますが、どの役者も存在感があって印象に残ります。ほんの2時間あまりで約10年に渡るグループの活動や亀裂、ソロになってからのそれぞれの成功を追うのは至難の業だと思います。ムダなものを削ぎ落とした感はぬぐえませんが、N.W.A.というグループの実態はよく描かれていると思います。

SugeKnightアイス・キューブとドレがN.W.A.の映画を制作していると聞きつけたシュグ・ナイト、黙っているはずがありません。「オレに断りもなしに………。」と怒り狂ったシュグ、チンピラ仲間を連れて撮影現場を襲撃、なんと死傷者まで出してしまいました。そのニュースは、映画にとって格好の宣伝材料になっただけで、シュグはまた刑務所に逆戻り………。

ライヴ映像はすべて出演者たちがパフォーマンスしているそうです。なかなか迫力があってコンサート映画としても楽しめます。私はイースト・コーストの現場でヒップホップを体験したのですが、この映画を通してN.W.A.のリアルなメッセージも十分堪能できました。ヒップホップの歴史を知るうえでも重要な作品だと思います。

伊藤 弥住子

‘Straight Outta Compton’ tops the box office for the second weekend

Straight Outta Compton
Рэп группа NWA документальный фильм
Прямо из Комптона продается максимум за второй уик-энд

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The NWA biopic “Straight Outta Comptonopened on Friday, August 14 has been receiving rave reviews.

The film profiles N.W.A, the musical group credited with helping to popularize gansta rap. Its depictions of racial tension and police brutality seemed to resonate with audiences still grappling with the aftermath of the deaths of young African-American men Freddie Gray and Michael Brown.

O'Shea Jackson Jr
There had been rumors of Lil Eazy E playing his late father Eazy-E but it didn’t work out and Jason Mitchell got that part (he did a great job.) O’shea Jackson Jr., Ice Cube’s own son played Ice Cube and a new comer Corey Hawkins played Dr. Dre.

straight-outta-compton-eazy-e
After their debut album Straight Outta Compton is released and becomes a smash hit, N.W.A goes on a national tour across the United States. Along the way, the group encounters many protests directed against them.

Clearly African-American rage at the militaristic tactics of the largely white occupying force of police in their communities is nothing new, not now and not in August 1988 when N.W.A.’s groundbreaking album “Straight Outta Compton” was released.

Corey Hawkins
There is one scene in the movie when the group, taking a break in the midst of a recording session, are set upon by cops — one of them is even black — looking to jam them for no other reason than their momentary presence outside the studio on the street. We see the tension between LAPD and black kids in the ‘hoods that eventually made the group to create the most controversial song “F**k tha Police” acting as an angry reaction to police violence perpetuated in some of L.A.’s most ignored hoods.

NWA
The FBI so wanted to extinguish the powerful flame that was “F*ck tha Police” that they sent a sternly worded letter to Priority Records and N.W.A, the first time they had ever done so for an album. But that letter was the best thing that could have happened to N.W.A., though. The marketing genius Eazy decided to send the letter to the press, which stirred up a whole new level of interest in Compton. They went from just being locals in L.A. to tangling with some of the biggest power entities out there. The negative attention only gave N.W.A further fame and with it, album sales………

The onscreen confrontations with the LAPD build to the Rodney King beating, which we see the stars watching. Eazy E is outraged by the footage. Nods DJ Yella (Neil Brown Jr.), “At least we got those muthafuckas on video.” How grim is it to watch this scene in 2015 and admit that long after N.W.A.’s brave feud with the FBI, things have actually gotten worse? Now we have even more cameras — yet the victims so often are dead.

2pac-singleton-thumb
Tupac was also in the film played by Marcc Rose, a spitting image of the man. I was hard to believe that the guy with backwards bandana and all in the studio rapping Dre produced “California Love” wasn’t Pac. Believe me, you would think that was an actual footage from the recording session. It’s no wonder Rose was tapped to play the fallen legend for John Singleton’s Tupac biopic.

SugeKnightP.S.

Suge Knight was not invited to the promo shoot, but dropped in unannounced after hearing that a “Suge look-alike” had been hired to appear in the film. It was reported that Ice Cube, a founding N.W.A. member left the set when the fatal crash occurred. As the saying goes, there’s “no such thing as bad publicity”. Thanks to Suge Knight who is back to jail again.

「Amy」 エィミー・ワインハウス衝撃のドキュメンタリー映画

Amy_Winehouse

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Документальный фильм о Эми Уайнхаус

2011年に亡くなったエィミー・ワインハウスの実録映画「エィミー」が本国のイギリスに続きアメリカでも公開されました。享年27歳という若さ、グラミー賞を総なめにしたりその人気の頂点に立っていたという事実、そしてなによりも、コカインやクラックなどのドラッグとアルコールによるオーバードースというショッキングなエィミーの死のニュースは一瞬にして世界を駆け巡りました。

Amy_Movie_Poster

インド人でイギリス国籍の監督、良質のドキュメンタリー映画を制作することで知られているアシフ・カパディアは、「エィミー」を、あくまでも「ひとりのミュージシャン」として描こうとしました。本来の彼女の姿を忠実に表現するために、あえて「ドラマティック」な演出はせずに、淡々としたナレーション、インタビューで綴っていきます。

amy-winehouse-fight-lgエィミーの親しかった友達で初期のマネージャーを務めたニック・シャイマンスキー、仲良しの女友達、ローレン・ギルバート、元旦那のブレイク・フィールダー・シィヴィルなど一般人の他、プロデューサーのサラーム・レミ、マーク・ロンソン、ラッパーのモス・デフ(ヤシーン・ベイと改名)などが登場、エィミーの過去のインタビューや映像、ライヴ音源など、初公開のフッテージ満載で、彼女の素顔がだんだん見えてきます。

Mark Ronson: NME 17/01/2015 Pub orig

Mark Ronson: NME 17/01/2015 Pub orig

エィミー・ワインハウスのファン必見の作品です。メディアではただのワガママなジャンキー、みたいな扱い方をされていましたが、実際の彼女はとても繊細でシャイな人でした。自分を表現することが苦手で、不器用は人なのです。「私はミュージシャンだから……」と何度もコメントしています。エィミーは「スター」になんかなりたくなかったのです。

突然、グラミーにノミネートされてしまったり、有名スターたちからコラボを申し込まれたり、もちろん嬉しいには越したことはないのですが、心の準備ができていなかったのだと思います。不安を紛らわすためか、酒の量は増えるし、コカインやそのほかの薬物の摂取量もどんどん増えていったようです。

Ronnie_Spector2007年5月8日、アルバム「Back To Black」の大成功でアメリカ・ツアーを果たしたエィミーのライヴ・パフォーマンスを観ることができました。バックを務めたのはアメリカの本格的ソウル・バンド、ダップ・キングスです。まるで60年代全盛だったロネッツのコンサート見ているような錯覚に陥ってしまいました。あの頭のてっぺんを思い切り膨らませたビーハイブ・ヘア・スタイルと太い真っ黒なアイラインはロニー・スペクターそのもの。

「私、ずっとこのスタイルなの。これが好きだから。」と、ビヨンセやリアーナなど主流のハイ・ファッションとは真逆ともいえるレトロ路線を貫くところなど、強烈な個性がエィミーの魅力ともいえます。オールディーズなのはファッションだけではありません。モータウンやフィリー・サウンドの大ファン、サム・クックの曲のカバーを歌ったり、かなりのソウル・オタクだったようです。

Amy outside her Gran's flatアメリカ公演のおり、エィミーに取材する機会に恵まれました。プレス嫌いで有名な彼女ですが、レコード会社の契約で無理やりやらされて仕方なく……というのが丸見え。とても居心地が悪そうで、なんだか申し訳ないような気持ちになりました。ふてくされているくせに、取材場所のホテル内のバーのバーテンの男の子には、「ヘィ、ベィビー、元気!」とにこやかに声をかけたり………。”Rehab” がバカ売れしていた時だったので、「なぜアル中になってしまったんですか。」と質問したところ、「みんな(ロンドンでは)お酒飲んでたし、若い女の子たちはみんなパーティーとかで飲むし、ごく自然にそうなっちゃった。」という答え……..。ということはロンドンはアル中だらけ、ということなのでしょうか。

Amy-amy-winehouse-27051243-500-690映画「エィミー」は、まだ若かりし彼女の姿を収めたホーム・ビデオなど、素人の映像も多く、ビジュアル的にはキツイところもありますが、27歳という若さで亡くなってしまったので十分な素材がなかったので仕方がないのでしょう。登場する人たちがUK勢なので当然ブリティッシュ・イングリッシュ、ありがたいことにアメリカ人の観客向けに英語字幕がついています。イギリス人でもアメリカ生活の長いプロデューサーのマーク・ロンソンや、マイアミに拠点をおくプロデューサー、サラーム・レミ、そしてブルックリン出身のラッパー、モス・デフのインタビュー部分は字幕なし、です。

Amy's family albumジャンキーのボーイフレンドのインタビューやドラッグ関連の映像などハードコアな面もありますが、リハーサル風景やライヴ・シーンもあって音楽的にも十分楽しめます。エィミーのお父さん、ミッチ・ワインハウスが頻繁に登場するのですが、その行動が「娘を食い物にする」かつてのビヨンセ・パパを彷彿とさせます。本人曰く、「この映画は自分を悪者に仕立て上げている。事実ではない!」と抗議しているとか……..。ニューヨークのリンカーン・センター近くの映画館で観たのですが。オーディエンスは白人の中年のカップル、または白人の中年女性のグループが多かったようです。

絶賛上映中

(伊藤 弥住子)