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August Wilson’s American Century Cycle 劇作家オーガスト・ウィルソン「一世紀祭り」

Fences

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劇作家オーガスト・ウィルソン「一世紀祭り」
xっzAugust Wilson’s American Century Cycle

August Wilson

August Wilson

ピューリッツァー賞受賞劇作家、オーガスト・ウィルソンの10作品上演会がNYのグリーン・スペースにて開催されます。これはラジオ録音用で、ブロードウェイ・ショーのように豪華なセットなどはありまんせが、ベテランの俳優によるユニークな朗読会になりそうです。タイトルは「アメリカン・センチュリー・サイクル」、舞台設定は1900年から1990年まで100年(一世紀)の長きにわたります。

オーガスト・ウィルソンはピッツバーグ(ペンシルバニア州)出身、黒人奴隷や人種差別、白人による搾取に不満をもつ貧しい黒人達の生活を描いたアメリカを代表する劇作家です。音楽愛好家で、ジャズやブルース・ミュージシャンが登場する作品も多く、セリフにリズムがあって躍動感に溢れています。今回の作品は物語の舞台となる年代ごとに分けられています。チケットは$40。

Black Shakespeare

黒人社会では「ブラック・シェイクスピア」と親しまれているウィルソン劇、ハリウッドの有名俳優たちの間でも熱狂的ファン少なくありません。TV番組「コズビー・ショー」のクレア・ハクスタブルを演じた人気女優フィリシア・ラシャッド、映画「マトリックス」3部作に出演したローレンス・フィッシュバーン、黒人女優きっての演技派、アンジェラ・バセット、ハリウッドのブラック・プリンス、デンゼル・ワシントンなど、ウィルソン作品を何度も演じてきました。

スケジュール

8/26 7pm Ma Rainey’s Black Bottom
8/28 7pm Fences
9/4 7pm Joe Turner’s Come and Gone
9/9 7pm The Piano Lesson
9/11 7pm Two Trains Running
9/13 7pm Seven Guitars
9/16 7pm Jitney
9/21 7pm King Hedley II
9/24 7pm Gem of the Ocean
9/28 7pm Radio Golf

 

 : The Green Space44 Charlton Street (corner of Varick Street)New York, NY
http://www.thegreenespace.org/articles/thegreenespace/2013/jul/01/august-wilsons-american-century-cycle/

それぞれのお芝居の内容をみてみましょう。

8/26 – Ma Rainey’s Black Bottom

Whoopie Goldberg as Ma Rainey

Whoopie Goldberg as Ma Rainey

監督:Ruben Santiago-Hudson 

1920年代のシカゴ。主人公はマ・レィニーという実在のベテランの黒人女性ブルース歌手。場面はレコーディング・スタジオで、白人レーベル・オーナーがとりしきります。バンド・メンバーは長年一緒にやっているジャズ・ブルース・ミュージシャン。若いトランペット・プレーヤーのレヴィーが白人プロデューサーに取り入るため斬新なアレンジでマ・レィニーを怒らせます……。今も昔も変らない音楽業界の薄汚い裏の世界、黒人社会に今も暗い影を落とす忌まわしい奴隷制……..衝撃的な結末。2003年、NYのブロードウェイ・ショーでの上演はウッピー・ゴールドバーグがマ・レィニー役を務め話題になりました。

キャスト

マ・レィニー                  Ma Raineyシカゴのブルース歌手。

カトラー                           Custlerトロンボーン奏者。

レヴィー                           Leveeトランペット奏者、ソロ・デビューを目指す。

スロウ・ドラグ                  Slow Dragベーシスト。

トリード                           Toledoピアニスト。

8/28 – Fences

Denzel Washington as Troy

Denzel Washington as Troy

監督:Kenny Leon

1950年代のピッツバーグ。主人公のトロイ・マクソンは50代の元二グロ・リーグの花形野球選手で現在はごみ収集作業員。人種差別のせいでメジャー・リーグに入ることができなかったと信じているトロイ、プロのフットボール選手を目指す息子との確執、奥さん以外の愛人に子供を生ませたり、夢も希望もない問題だらけの人生………。ピッツバーグの黒人コミュニティーの厳しい現実をカラフルに描いたドラマ。1987年にはジェームズ・アール・ジョーンズが、2010年にはデンゼル・ワシントンがブロードウェイ・ショーでそれぞれ主役のトロイを演じてトニー賞ベスト・アクター賞を受賞。2007年、ローレンス・フィッシュバーンがトロイを、妻のローズ役をアンジェラ・バセットが演じ、ティナ・ターナーの伝記映画、「ホワット・ラヴ・ガット・トゥ・ドュ・ウィズ・イット」以来の共演となりました。

Laurence Fishburne & Angela Bassett in Fences

Laurence Fishburne & Angela Bassett in Fences

キャスト

トロイ                                Troy Maxson 53歳のごみ収集作業員。

ローズ                                Rose Maxson トロイの妻。

コーリィ                           Cory Maxson トロイとローズの長男。

ガブリエル                       Gabriel Maxson 次男。戦地で負傷、以来精神に異常をきたす。

9/4 – Joe Turner’s Come and Gone

監督:Phylicia Rashad

Phylicia Rashad

Phylicia Rashad

1910年代のピッツバーグ。元奴隷ヘラルド・ルーミスは7年間強制労働をさせられ、妻も娘も、そして人間としての目的をも失ってしまいます。やっと解放され、妻を探す果てしない旅に出ます……。舞台はピッツバーグで下宿屋を営む中年のセスとバーサ夫婦の家。ジョー・ターナーは実在のテネシー州知事、ジョー・ターネィのもじりで、ここでは南部社会の悪の根源を象徴しています。。南部では鉄道建設や工場建設などに必要な労働力を得るため、黒人たちを不当に逮捕して強制的に働かせるという悪政が横行していました。ここに登場するヘラルド・ルーミスもその犠牲者のひとり。タイトルは、突然蒸発してしまった夫やボーイフレンドの行方を尋ねる女性たちへの答え、「ジョー・ターナーがやって来て連行していった。」を意味しています。宗教色の強い人間ドラマ。

キャスト

セス・ホーリー               Seth Holly 50代。下宿屋の主で職人。

バーサ・ホーリー         Bertha Holly 下宿を切り盛りするセスの5歳年下の妻

バイナム                       Bynum Walker下宿人。怪しげな祈祷術にとり憑かれている。

ラザフォード                  Rutherford Selig 元奴隷貿易商の息子、現在は「よろず屋」。唯一の白人。

ジェレミー                       Jeremy Furlow下宿人。工事現場で働く25歳。ギターが趣味。

ヘラルド・ルーミス Herald Loomis ほんの些細なことで逮捕され7年間強制労働させられる。夏でも厚手のコートを着ている32歳。

9/9 – The Piano Lesson

監督:Ruben Santiago-Hudson 

1936年、大恐慌の悪夢から冷めやらぬピッツバーグのHill District。家族の唯一の財産、アンティーク・ピアノを巡ってチャールズ家のメンバーが繰り広げるファミリー・ドラマ。1990年にピューリッツァー賞を受賞。

キャスト

ドーカー・チャールズ               Doaker Charles チャールズ家の主、47歳。

バーニース                       Berniece ドーカーの姪、35歳。亭主に先立たれ、娘と叔父と同居。

ボーイ・ウィリー         Boy Willie バーニースの弟。刑務所から出所したばかりの30歳。

ライモン                           Lymon ボーイ・ウィリーの親友、29歳。バーニースに思いを寄せる。

9/11 – The Two Trains Running

監督:Michele Shay

1969年、ピッツバーグの黒人コミュニティー、ディストリクト・ヒル地区のダイナーのオーナーの葛藤を描いた物語。1968年4月キング牧師暗殺直後より各地で暴動が勃発、緊張感がただようピッツバーグの街では都市計画が進み、黒人たちはますます経済的に窮地へ追いやられてゆきます。立ち退きを迫られるダイナー経営者、南部出身の古い世代のメンフィス、黒人たちを追い出そうとする都市計画の反対運動に没頭する刑務所を出たばかりの若者スターリング、ブラック・コミュニティーでも価値観が異なり、ジェネレーション・ギャップが浮き彫りにされます…….。

キャスト

ハロウェイ                       Hollowayダイナーの常連。

ウルフ                                Wolf ダイナーの常連。ギャンブル目的で公衆電話を独占。

スターリング                  Sterling若いブラック・パワー運動家。

リサ                                    Risa ダイナーのウェイトレス。

ハンボーン                       Hambone 地元ホームレスの客。知恵おくれ。

メンフィス                       Memphis ダイナー経営者。

9/13 – Seven Guitars

監督:Stephen McKinley Henderson

1948年代のピッツバーグの黒人地区。ブルース・ミュージシャン、フロイド‘スクールボーイ’バートンの葬式に参列した友人たちが帰ってきたところから物語が始まります。フロイドの生前にフラッシュ・バック。90日の刑期を終えて出所してきたフロイドは元の彼女の家をたずね、一緒にシカゴに行って暮らそうともちかけます。自分たちのレコードがヒットし、マネージャーから第二弾目のレコーディングをしにシカゴに来るようオファーをもらったというのです。まだ公民権運動が叫ばれる前、黒人の男たちがデタラメな罪状をでっちあげられ逮捕されることは日常茶飯事でした。主人公のフロイドは警察に「お金をもっていない」という理由で捕まり、一緒にいたミュージシャン仲間のレッド・カーターは多額のお金を所持していたことで、「盗んだに違いない」という理由でそれぞれ投獄されました。ブラック・コミュニティーの男たちのやるせない葛藤が伝わってきます。タイトルの7ギターとは、7人の男女が織り成すそれぞれの人生の協奏曲のこと。

キャスト

フロイド・バートン     Floyd ‘Schoolboy’ Barton 主人公。ブルース・ミュージシャン。

ベラ                                    Vera フロイドの彼女。独身。

レッド・カーター         Red Carter ドラマー。

ケィンウェル                  Canewell ミュージシャン。

ルイーズ                           Louise

ルビー                                Rubyルィーズの25歳の尻軽の姪。男と別れて叔母を頼って上京。

ヘドリー                           Hedley 下宿人。ちょっと頭のおかしい養鶏オジサン。

9/16 – Jitney

監督:Ruben Santiago-Hudson 

1977年、うらびれたピッツバーグのジプシー・キャブ(Jitney)の事務所にはドライバーたちがたむろしながら仕事の電話を待っています。ライセンスもない違法な商売です。ここ、黒人地区ヒル・ディストリクトではイエロー・キャブなどという洒落たものなどないのです。オーナーの息子が刑期を終えて古巣に戻ってくるところからストーリーが展開してゆきます。

キャスト

ベッカー                      Becker ジトニーのオーナー

ブースター                  Booster ベッカーの息子。父とは折り合いが悪い。

リーナ                         Rena ボーイフレンド、ダーネルとの間に子供がいる。

ダーネル                      Darnell/Young Blood 浮気性の若い運転手。

シーリー                      Shealyジトニー運転手。

9/21 – King Hedley II

監督:Michele Shay

1985年のピッツバーグ。殺人を犯し刑期を務めシャバに戻ったキング・ヘドリー・ザ・セカンド。過去に犯した罪に苛まれ、葛藤の毎日が続きます。ガールフレンドのトーニャとまともな人生を歩もうとしますが思うようにいきません。友人のミスターとビデオの店を持とうと盗品の冷蔵庫を打って荒稼ぎをしようと企みますが……….。

キャスト

トーニャ          Tonya主人公、キング・ヘドリーのガールフレンド。妊娠を知って中絶しようか迷う。

ルビー             キングの母親。

エルモア          殺人罪で長期服役後出所、故郷ピッツバーグに帰ってくる。

キング             King Hedley II前科者で過去の罪に苛まれる。事業を始める資金集めに奔走する。

ミスター          キングの相棒。一緒にビデオ屋経営を夢見る。

9/24 – Gem of the Ocean

監督:Kenny Leon

1904年、ワイリー・アベニュー1839番地にある、自称285歳のエスターおばあさんの家で起こる現実離れしたお話。元奴隷だったエスターおばあさんは「穢れた魂を洗浄する」ことを生きがいにしています。彼女を訪れる近所人たちが繰り広げるスピリチュアルなドラマ。

キャスト

エスター・タイラー    Aunt Ester Tyler元奴隷でスピリチュアルな不思議なパワーを持つ。

シチズン・バーロー Citizen Barlowエスターの評判を聞いて訪ねてきたアラバマ出身の若者。

ソーリー                      Solly Two Kingsエスターの友達で元奴隷。

ブラック・メアリー    “Black” Mary Wilkesエスターの家政婦。

9/28 – Radio Golf

監督:Marion McClinton

1997年、ピッツバーグのヒル・ディストリクトが舞台。親から不動産業を継いだアイビー・リーグ出のエリート黒人青年、ハーモンド・ウィルクスは妻と金融関係の友人と組んで地元の土地開発の事業に乗り出します。スターバックスなど大手店テナントを入居させる高層マンション建設のプロジェクトも順調に進み、同時に初の黒人市長になろうと野心を燃やします。すべてが順風満帆、と思いきや土地買収でつまづいてしまいます……。

キャスト

ハーモンド        Harmond Wilks 不動産、土地開発業者。政界進出を狙う。

メイム                 Mame Wilksハーモンドのやり手の妻。

ルーズベルト  Roosevelt Hicksハーモンドと学生以来の友人で事業のパートナー。

(伊藤弥住子)

Chris Tucker is Baaack!! クリス・タッカー復帰ツアー

Chris Tucker

Chris Tucker

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Chris Tucker is Baaack!!
クリス・タッカー復帰ツアー

過去の税金を払っていないとして12ミリオン・ドルという膨大な追徴金の支払いを命じられて財政難に窮しているクリス・タッカーの「Guess Who’s Back Tour」がソールド・アウト続出という大盛況を収め、最後のNYアポロ劇場の公演で幕を閉じました。12月の13日と14日の2回公演のうち、運良く14日のチケットを入手、3階一番後ろのステージから最も遠い席でしたが、大好きなクリス・タッカーを生で見ることができたのでさっそくレポートいたします。

前座はロンドン・ブラウンとテリー・ホッジズというふたりのコメディアンがおのおの30分ずつのステージを務めました。特に無名のロンドン・ブラウンがネタ、物真似とも素晴らしくアポロ劇場のオーディエンスを思いきり笑わせてくれました。デンゼル・ワシントンがガソリン・スタンドの従業員だったら…..という想定の物真似や、ジェイZのラップを真似てみせたり、さらにはこの日の主役、クリス・タッカーのハイパーな喋りをそのまま再現してみせたりと高度なスキルでオーディエンスを湧かせました。

待ちに待ったクリス・タッカー、ファンキーなジェームス・ブラウンの「ペイバック」をBGMに華々しくダンスしながらの登場です。最初のトピックはオープニング曲に相応しい「税金問題」。すでに「クリス・タッカー、税金地獄!IRSが12ミリオン徴収通達」とニュースで報じられているので全米ブラック・コミニティーの常識になっています。

Chris Tucker & Jackie Chan

Chris Tucker & Jackie Chan

開口一番、「 IRSはマフィアよりタチが悪い」とタイムリーなジョークでウォーム・アップ。「ラッシュ・アワー」シリーズで大スターの座を築き、続編のパート3では何と25ミリオン・ドルも稼いだというクリス。「お金がいっぱい入ってきて,隣同士の家を2軒もいっぺんに購入しちゃった。オレのお隣りさんがオレ…….なんて、わけわかんなくなっちゃったりして……(笑)。稼いだお金は全部自分のものだと思ったのに……。」と税金問題に発展した経緯をほのめかします。IRSに追われて大ピンチ、仲良しのジャッキー・チェンに相談してはみたものの、「クリス、おまえブロークなのか。ま、アメリカの国自体がブロークだからな。」と取り合ってくれないとか…….。「誰も信じちゃいけない。特にウェズリー・スナイプスから税金のアドバイスなんか聞いちゃだめだよ。‘クリス、お前、まだ国にタックスなんか払ってるのか?オレなんかブレードのヒーローだし、タックスなんか払わないぞ’なんて入れ知恵されて信じようもんなら刑務所行きだからな。」と茶化します。

この背景をよく知らない人のために付け加えておくと、ウェズリー・スナイプスは脱税容疑で有罪となり、懲役3年を言い渡され2010年より現在も服役中なのです。彼の税理士が所得税は海外での所得に対して課せられるものであって国内での収入は対象にならないと主張、それを真に受けたウェズリーが納税を拒絶、その結果裁判沙汰となり敗訴し刑務所に行くハメになりました。そんなことに取り合うなんてバカバカしいと思うかもしれませんが、実際に所得税不払い運動を起こしているAmerican Rights Litigators というが団体が存在しているのです。

Ice Cube & Chris Tucker in Friday

Ice Cube & Chris Tucker in Friday

有名人をカモにする詐欺師まがいの弁護士、会計士、ファイナンス・アドバイザーだらけのハリウッド、ウェズリーのように騙される芸能人は後を絶たないようです。クリスでなくとも猜疑心が強くなるのは当然かも知れません。クリス・タッカーと言えば、ヒップホップ・ファンからはアイス・キューブと共演した映画「フライデー」のキャラクター、いつもマリファナを吸ってぶっ飛んでいる「スモーキー」として知られています。1995年に公開された映画なのですでに17年経過しているのですが、今でも「よ〜、スモーキー!」と声をかけられるそうです。「オレのことスモーキーって呼ぶのはやめてくれ。」とファンのみなさんに訴えます。「あれはただのキャラクター、オレの演技がうますぎただけ。」と必死に嘆願。さらに、「アイス・キューブはラッパーだからな。‘フライデー’に出演した時のギャラなんかクサとCDだったんだぜ。」とジョークを飛ばします。

You Rock My World” PVで共演した仲良しのマイケル・ジャクソンのエピソードも披露。「マイケルのネヴァーランドに招待されて遊びに行ったら、窓の外にキリンが2頭現れてびっくり。マイケルになんでキリンが2頭いるの?と聞いたら、‘2頭じゃなくて3頭いるんだよ。みんなに紹介しようか’だって。マイケルの人徳なのか、彼だったら何をしても許されちゃうんだよね。電話で話していた時にいきなり思いついたのか、オレのこと‘クリスマス’って呼びはじめたことがあったんだ。‘クリスマスって響き、いいよね。ボク好きなだなぁ。これからはクリスマスって呼ぶことにする……。’なんて勝手に決められちゃった。最初は歯がゆかったけど、だんだん慣れてきちゃって……。マイケルのおかげで名前変更、今じゃオレの正式な名前は‘クリスマス・タッカー’だよ……。」とマイケルの思い出話は尽きません。

あっと言う間に2時間経過。チケット代60ドル以上たっぷり笑わせてもらいました。しばらく活動を休止していたクリス・タッカー、大盛況のうちに全米20

箇所を回った復帰ツアーの幕が降りました。今回のツアー収入で税金が払えるといいのですが……..。

(伊藤弥住子)

Goodbye Summer! 夏の終わり…..WBLS FM主催 サマーステージ・レポート 4TH Annual R&B Fest 2012

Kenny Lattimore

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Goodbye Summer!

レイバー・デーを過ぎるといきなり秋の気配。この夏もいろいろイベントがありました……。

セントラル・パークのサマー・ステージではデンゼル・ワシントンに遭遇!
以下、レポートをお届けします。

4TH Annual R& B Fest 2012
WBLS
 FM主催 サマーステージ・レポート/WBLS Presents Eric Benet & More

出演アーティスト:Kenny Lattimore、Chubb Rock、Q Parker (112)、Christopher                                  Williams、Salt ‘n Pepa & Eric Benet
司会:Lenny Green, WBLS
音楽担当 :DJ Bent Rock, WBLS

<デンゼル・ワシントン、サマー・ステージ観賞!>

夏といえば公園のフリー・コンサート!セントラル・パークで行われる恒例のサマー・ステージは家族全員で楽しめます。7月、8月はさまざまなジャンルのショーが繰り広げられました。先日は、WBLSの仕切りでヒップホップ/R&Bのライヴが開催されました。アーティストの選考はWBLSの特別チームが担当しました。選ばれたのは新しいアルバムが大好評のエリック・ベネ、そしてリアリティーTVで盛り上がった女子ラップの代表選手、ソルト‘ン・ペパ、20年前に全盛期を迎えたクリストファー・ウィリアムス、地道に活動を続けているケニー・ラティモア、112解散後ソロに転向したQパーカー、オールド・スクール・ヒップホップながら今だに健在、チャブ・ロックです。

サプライズがいっぱいのコンサート、まずはお洒落なケニー・ラティモアがステージに登場しました。スタート時間は4時のはずが3時半より始まっていました。

お次ぎはオールド・スクール代表、チャブ・ロック。おデブという意味のチャブですが、相変わらずぽっちゃりというか、年齢を重ねたぶん貫禄がついていました。ヒット曲、“Treat ‘em Right” を始め、オールド・スクールのオンパレード。バック・ステージには仲間のマーリー・マールも遊びに来ていました。

Chubb Rock with a fan

スタッフ全員が彼の名前のイニシャル、CWをあしらったお揃いのTシャツで登場したのはクリストファー・ウィリアムズ。1990年の大ヒット映画、「ニュー・ジャック・シティ」の主題歌でスターの仲間入り、あれ以来これといったヒットはありませんがまだまだ現役、女性ファンがいっぱいです。それにしてもクリスが登場するというアナウンスに異常な歓声が上がっています。私はステージの裏から見ていたのでミュージシャンたちや機材の陰になっていて何が起こっているのかよくわかりません。「キャ〜!ひぇ〜!」とオーディエンスが凄いことになっています。ニュー・ジャックのスターとはいえ、クリストファー・ウィリアムズがこんなに人気があるなんて………..。驚いていたら、黒いTシャツに黒い野球帽を被ったブラザーの姿が目の前をかすめました。あ〜!なんと映画界のプリンス、デンゼル・ワシントンではありませんか!デンゼルがクリスの司会役として駆けつけてくれたのです。彼の大ヒット曲、”I’m Dreaming” で私たち女性陣は大コーフン、「ニュー・ジャック・シティ」の場面が蘇ります。

Christopher Williams on stage (on his back)

デンゼルはCWのパフォーマンスをステージ上のテントの下で楽しそうに聴き入っています。合間にかかるヒップホップの曲にもわりと反応していて肩でリズムをとったりいい感じ……。

クリストファー・ウィリアムスは家族全員引き連れての参加。息子のCWジュニアをオーディエンスに紹介、彼に似たのかとても美形で爽やかな青年でした。あとですれ違った時に見たら、右肩に The Chief という刺青が入っていました。アメリカ・インディアンには見えませんがどういう意味なのでしょう。他にも娘が二人、こちらはライト・スキンの父親とは違い、かなりダークなシスターたちでした。母親らしき女性がバック・ステージにいたのですが、彼女もわりとライト系でした…….。

”Every Little Thing U Do” など、自分の持ち歌を披露してくれたクリス、もともとヒット曲の数がそれほど多くないのでネタが尽きてしまったのでしょうか……。こともあろうに実力派テディー・ペンダグラスの”Love T.K.O.” や“Close The Door” といったR&Bクラシックをカヴァー、歌唱力の差がちょっと気になりました…….。

Christopher Williams

なぜかまたチャブ・ロックが再度登場。オールド・スクール・メドレーを繰り広げます。

それにしても本当に暑くて、日陰にいないと熱射病になってしまいそう。ふだんはまり水を飲まない私ですがたまらなくなって2ドルもするボトル・ウォーターを買って飲みました。

6時前後にステージに現れたのはソルト‘ン・ペパ。一時は体が大きくなっていたソルトとペパですが、テレビのレギュラー出演をしていたせいか現役時代と変らないくらいの体型にシェイプアップ、特にペパは麗しいベテラン・アーティストに成長していました。クリスのセットが終わったらすぐに帰ってしまうかと思っていたデンゼルですが、ずっとステージのテントの下でライヴを観賞しています。

ソルト‘ン・ペパがダンサーとともにステージに飛び跳ねてでてきて”Let’s Talk About Sex” のイントロに乗ってラップし始めたら静かにしていたデンゼルの体がどんどん揺れ始めました。“Shoop”でさらに盛り上がり、頭を上下に振りながらかなりノリノリです。デンゼルって実はヒップホップが大好きだったんですね。

En Vogue とコラボを組んで大ヒットしたブラザー礼賛の曲、“What A Man” の前には必ず語りが入ります。この日の演出はとてもグッド。まずソルトが「私、結婚して21年なの。とても理解のあるパートナー、ギャヴィンと力を合わせてこんなに素晴らしいファミリーに恵まれました……..。」ステージにはソルトの子供たちとハズバンドが勢揃い、なんだかおのろけを聞かされてむずむずします。

Summerstage hoted by WBLS

そこでペパがつっこみます。「21年も幸せな結婚……?ナイスじゃない。あたしはどうせ結婚していませんよ、子供はいるけど…….。あたしだってそりゃ、いい男に会いたいわよ。ちょっと、誰かいい男いない……?」とペパのぼやきに、タイミングよく登場したのが俳優のリオンです。ペパとリオンが絡み合って踊りながら“What A Man”を歌います。なるほど……。しばらく前にリオンがステージの脇でハングアウトしていたのを目撃してしたのですが、そういう筋書きだったとは…….。アクターのリオンがそこにいる理由がやっとわかりました。(デンゼルがリオンの役をやったら歌詞そのままだったのに……..。)

Whatta man, whatta man, whatta man, whatta mighty good man
My man is smooth like Barry and his voice got bass

A body like Arnold with a Denzel face, he’s smart like a doctor

 最後は”Push It” で締めくくり。なかなかタイトなライヴでした。

これでそろそろ夏も終わり………。いろいろ野外ライヴを楽しませていただきました。

(伊藤弥住子)