10 Индийских хип-хоп песни
ヒップホップはどこの国の若者にも浸透しています。もちろん、アメリカ国内のインディアンたちの間でも根強い人気です。白人に土地を奪われ、指定の居留地に強制移住させられた先住民のインディアンたちは、ラップを怒りのはけ口として独特のカルチャーを築いています。
その中でも、リリック、ビーツ、ビジュアルなどクウォリティの高いラップ曲を選んでみました。
1 Supaman – “Why”
これぞネィティヴ・ヒップホップ。衣装、ダンス、ドラム……..、クロウ・ネィション族を代表するにふさわしいラッパーがスパマンです。本名はクリスチャン・パリッシュ、元ヒップホップDJで、DJクリスという芸名で活動していました。MVに登場する女性はインディアン・ダンス・コンテストで優勝した経験のあるジングル・ダンサーのアコーシァ・レッド・エルク(赤鹿アコーシァ)。昔のインディアンたちはみんなニック・ネームを持っていたそうです。ジェロニモとか、クレィジー・ホース、レッド・クラウド…….。スパマンのラップはリリックも映像もレッズそのもの。まさに、キープ・イット・リアル・レッズ。レッズとは、レザベーション(Reservation)、インディアン居留地のこと。
2 Drezus – “Warpath”
「ここの国の住人なのに自分たちは完全に無視されている。すっかり世間から忘れ去られている。許せない。」とドレザスは怒りをぶちまけます。
カナダのカルガリー育ちのラッパー、ドレザスはプレインズ・クリー族です。小さい頃からヒップホップが大好きで、ずんぐりしていたことから‘ビギー’と呼ばれていました。ハードコアなラップが好きで、パブリック・エネミーやN.W.A.に傾倒していたと言います。貧困、失業などが蔓延し、黒人のゲトーよりも悲惨な環境で育っているインディアンたちも少なくありません。絶望感、アイデンティティ喪失、自己嫌悪等の理由で自殺を図る若者が急増しているそうです。ドレザスも例外ではありませんでした。コカインを常用、酒を飲み、現実逃避をする日が続きました。すべてが嫌になり、18歳の時に喉をかき切って自殺を図ろうとしました。路上に倒れているところを見知らぬ人に助けられ、奇跡的に回復。
その事件をきっかけに自分がネィティヴ・アメリカンだということに目覚めたと言います。過去の自分と決別、ネィティヴ・アメリカンとしての誇りを持つようになりました。クリー族の酋長だったピアポット(Piapot)のようになりたい、だからインディアンのヒップホップをやるのだそうです。
3 City Natives – “My People”
シティ・ネィティヴスはカナダのニュー・ブランズウィック及びノヴァ・スコーシア出身のグループです。メンバーはビーツ(Beaatz )、イルファンズ(IllFundz )、ギァール(Gearl )、ビー・ン・イー(BnE )の4人。みんなそれぞれ違う部族ですがネィティヴです。カナダが拠点なのでアメリカには彼らの活躍がほとんど伝わってきませんが、個人のアーティストとしてもそれぞれユニークな音楽を展開しているようです。
4 FrankWaln – “AbOriginal”
ルックス抜群、女子の間で絶大な人気を誇るナイス・ガイがフランク・ウォーんです。サウス・ダコタ州のローズバッド・スー・インディアン居留地育ちの25歳。アクティビスととしてもベテラン・キャリアを誇るラッパーです。初めて地元を離れてシカゴの大学に入学、そこで知り合った女学生に「自分はアメリカ・インディアンだ。」と自己紹介したところ、「え、インディアン?絶滅したんじゃないの。」と言われ、大ショックを受けたとか…….。世界の認識がそんなものなのだったなんて…….。こんなことじゃいけない。危機感を感じたフランクは、アメリカ・インディアンの体験を盛り込んだ新しいヒップホップをやろう、と固い決意をしました。ナズ、タリブ・クウェリなどNYのアーティストの他、ケンドリック・ラマーなどコンシャス系がお気に入り。
5 J-Rez – “Real Life”
カナダのジョージナ・アイランド・ファースト・ネーション・オンタリオを祖先に持つJレッズ、12歳の頃からヒップホップにどっぷり浸かり、仲間とレッズセットというグループを結成しました。Rezset のアルバムをプロデュースする傍ら、自分のソロ・プロジェクトも推し進め、ソロ・アーティストとしての地位を確立しました。インディアン居留地に蔓延している糖尿病はJレッズにとっても切実な問題です。現在、糖尿病の対する意識を高めよう、という運動に関わり、「レッズトア・プライド(誇り回復)」の一環として”It Ain’t Easy”という曲を発表、アルバムに収録される予定だそうです。
6 MC Red Cloud – freestyle
ハードコアなラップ・スタイルで知られているのがLAのライトニング・クラウドの片割れ、レッド・クラウドです。ギャング・メンバーの家庭に育ち、生まれて8か月で最初の入れ墨をいれたというかなりのツワモノ。本人もギャングの仲間に入りドンパチやっていたそうですが、ある時、「こんなことをしている場合じゃない。まともな人生を生きよう。」と改心、MC Red Cloudが誕生しました。
7 Sten Joddi – “Unbreakable”
アーティスト名のステン・ジョディというのは、マスコギー・クリークの言語で「インディアン」という意味なのだそうです。全米で4番目に多い種族がマスコギー・クリーク族で、主にオクラホマ州に居住しています。彼も正式にこの部族のひとりとして登録しています。ティーンの頃からヒップホップが大好き、4年前に先輩ラッパー、ライトフットとネィティヴ・アメリカンの仲間で経営するレコード会社、レッド・ヴァイナル・レコーズと契約しました。
8 Litefoot – “My Land”
ネィティヴ・アメリカンとして初のラッパーがチェロキー族を代表するライトフットです。カルフォルニア生まれ、オクラホマ州のタルサ育ち、現在はカナダのトロント在住です。ネィティヴの間ではLL Cool J的存在、よき兄貴として慕われています。自分でレッド・ヴァイナル・レコーズを立ち上げ、これまで12枚のアルバムをリリースしています。ツアーも頻繁に行い、全米を回っていますが、ほとんどがインディアン・リザベーションのみでの公演のため、私たちにはなかなか情報が入ってきません。ライトフットの代表曲は「マイ・ランド」で、土地を追われ、子供たちを殺され、自然を奪われてきたインディアンたちの悲劇を伝えています。
9 Nataanii Means – “Dead Presidents”
アメリカン・インディアンの急進的活動家、ラッセル・ミーンズの息子、ナターニー・ミーンズがラッパー・デビュー。アメリカン・インディアン運動(American Indian Movement)のリーダーだった父親に代わってヒップホップでインディアンを代弁。オグララ・ラコタ(Oglala Lakota or Oglala Sioux)の精神を絶やしてはいけない……….ラコタ魂をヒップホップで表現する、それがナターニーの「使命」なのだそうです。ナズ、ウータン・クラン、ア・トライブ・コールド・クエストなどが大好きで影響を受けています。この曲「デッド・プレジデンツ」はJコールのバージョンをサンプルしています。
10 A Tribe Called Red – “Suplex”
Qティップのいたトライブ・コールド・クエストと混同しそうなグループ名ですが、こちらはトライブ・コールド・レッド、赤い人、インディアンのグループです。カナダのオタワを中心に活動している、ダンス・ミュージック系DJ三人のユニットで、インディアン・ドラムや古くから伝わる古来の歌を取り入れたユニークな音楽で人気があります。メンバーは全員ネィティヴで、NDNはニピシング・ファースト・ネーション族、ティム・ヒルはモホーク族、ベア・ウィトネスはカユーガ・ファースト・ネーション族です。聞きなれない部族ですが、カナダにはたくさんの種族がインディアン居留地に住んでいます。
番外編
Sole – “4,5,6”
ご存知の方も多いと思いますが、ジェニュワインの奥さんだったラッパーのソーレーもアメリカン・インディアン、チョクト―部族 (Choctaw)の血が混じっているそうです。1999年にデビュー・アルバム「スキン・ディープ」が大ヒット、リル・キム、フォキシー・ブラウン、イヴなどと共に女性ラッパーのブームを築いたアーティストです。「リアル・ポカホンタス」などと囁かれ、ヒップホップ界で話題になりました。最近は離婚して、ワシントンDCあたりに住んでいるとか…..。相変わらず美人です。