600億円のオファーを蹴った黒人起業家、トリスタン・ウォーカーの心意気!

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シリコン・バレーの数少ない黒人CEOトリスタン・ウォーカー(31歳)が、自社Walker & Companyを600億円(500ミリオン・ドル)で買収したいという大手企業、Schick, Gillette and Procter & Gambleのオファーを一蹴、というニュースに全米が沸き上がっています。

Bevel誕生、ナズ絶賛!

Nas 1ベンチャー・キャピタルという、黒人にとっては新しい分野に挑戦した29歳のトリスタン・ウォーカーがシリコン・バレーで投資家たちに暖かく迎えられ、「黒人のための髭剃り用カミソリの開発・販売 Bevel Brand」のビジネスを立ち上げたことは2013年、テック業界のニュースで大きく取り上げられました。

通常、この手のニュースは私たち、エンターティンメント関係者のところにはあまり伝わってこないのですが、トリスタンの場合は例外です。なぜなら、投資家たちのリストにMagic Johnson, Nasといったブラック・エンターティナーの名前が挙がっていたのですから….。

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黒人は、テック産業では成功できない……、とまことしやかに囁かれていたのを覆した男、トリスタン・ウォーカーに今、シリコン・バレーの熱い視線が注がれています。トリスタンは、ニューヨークでも貧困層で犯罪多地区、クィーンズのジャマイカで育ちました。父親は、彼が4歳の時に銃で撃たれて死亡しています。学校の成績がよかったトリスタン少年は奨学金を得て、コネチカット州の寄宿舎学校に通います。そこで初めて、ゲトー育ちではない、裕福な白人たちと接触する機会に恵まれました。「話には聞いていたけど、この世の中にこんなに金持ちがいるんだぁ。」と驚いたそうです。がんばって勉強して、ニューヨーク州立大学を卒業、2008年に奨学生として、カルフォルニアのスタンフォード大学に籍を置くことになりました。この時、24歳にして初めて「シリコン・バレー」の存在を知ったと言います。IT企業がひしめくこのエリアにはフェイスブック、ヤフー、グーグルLinkedIn、といったソーシャル・メディアを始め、eBay、アップル、オラクルなど、大手IT企業が密集しています。

これまでは、「ウォール街で働く、または弁護士になることがビッグ・サクセス」と思っていたトリスタン・ウォーカーですが、シリコン・バレーに行ってみてびっくり。回りを見渡すと、まだ20代そこそこなのにビジネスで巨額の富を築いている若者ばかりなのです。フェイスブックでビリオンを築いたマーク・ザッカーバーグもその一人。ところが、テック産業の密集しているシリコン・バレーで成功した黒人はほとんど皆無………。スタンフォードに通いながら、Twitter, FourSquareなどで経験を積んだトリスタンは、「オレはここで、黒人の自分にしかできない事業を立ち上げる」と誓いました。

tristan-selfie-750xx5760-3246-0-285黒人による黒人のための商品開発

常々、髭剃り用の剃刀がどれも自分の肌と固い髭に合わず苦労してきたことを思い、同じような悩みを持つ人たちのために優れた商品を開発したい、トリスタンの最初の事業、Walker and Company(Bevel Brand)のコンセプトをと思いつきました。トリスタンが他の起業家と大きく違う点は、ただビジネスを成功させるだけでなく、黒人として誇りのもてる事業をやること、でした。これまで、黒人用のヘアケア商品など、黒人消費者をターゲットにした商品はスーパーの暗い片隅の棚に追いやられていました。特に白人やアジア人が中心のシリコン・バレーでトリスタンの提唱する、「黒人向け商品を開発しよう」というプロジェクトに賛同する投資家はほとんどいませんでした。一握りの白人たちが牛耳っている社会を変革する、まさにカルチャー革命です。トリスタン・ウォーカーの闘いが始まります。

Bevel Ad2013年、トリスタン・ウォーカーにいよいよビッグ・チャンスが訪れます。Twitter への投資で知られる、ベンチャー・キャピタルのランキング#1、Andreessen Horowitz の初のアフリカン・アメリカン起業家に彼が 抜擢されたのです。投資家でよき助言者、ジューイッシュのベン・ホロウィッツ指導のもとでスタートアップ事業を任され、9.3ミリオン(約11億円)の資金を元に黒人向けの髭剃り用剃刀のブランドBevelを立ち上げたのです。

Nas + Tristanヒップホップが取り持つスタートアップ事業

成功のカギはヒップホップでした。投資家の世界で異色な存在、ベン・ホロウィッツは実は大のヒップホップ好き、関連のサイト、Rap Geniusにも関与しています。ラッパー、Nasとも親しく、トリスタンの事業を紹介したのもベンでした。「黒人向けのクウォリティの高い剃刀のブランド、Bevel」の話を聞いて、感銘を受けたナズは、投資に参加するだけでなく、全面的にマーケティングにも協力してくれることになりました。トリスタンの人柄とコンセプトに惚れこんだナズ、「ブラック・コミュニティの中核をなすバーバーショップにベヴェル・ブランドのシェーヴァーが浸透するようになって欲しい。」と豊富を語っています。黒人マーケットを対象にした剃刀ブランド、Bevelは大ヒット、その評判はどんどん広がっていきました。噂が噂を呼び、投資したいというエンターティンメント関係者が殺到、さらに投資額が増え、今月になって24ミリオン(約29億円)を記録しています。これまで、ベヴェル・ブランドの商品はオンライン販売のみだったのが、大手チェーン店のターゲットのセレクト・ショップにも登場することになりました。失敗するプロジェクトも多い中、リスタンのウォーカー&カンパニーは優良企業として成長、人気もダントツ急上層。

剃刀の大手企業ジレットからの600億円買収を一蹴!

同じ剃刀業界のジャイアント、Schick, Gillette and Procter & Gambleに追いつけ、追い越せというのがWalker & Companyの目標でしたが、まさかそこから買収のオファーをされるなんて……….。500ミリオン・ドル(600億円)という巨額な数字を提示されたことは、トリスタンのプロジェクトがそれ以上に価値があることを証明する以外のなにものでもありません。自分の真価が認められた………。トリスタンは即座にオファーを蹴りました。言葉にはしませんが、「オレは白人たちのカネに踊らされるのはまっぴら。黒人たちのカネを増やしていきたい。」というアチチュードが表れています。「自分が大きくなっていくことで、ブラック・コミュニティの意識を高め、経済活性化のために尽くしたい。」というトリスタン・ウォーカーの心意気に、これまでシリコン・バレーに関心のなかった若い黒人たちまでが熱い声援をおくっています。

600億円に屈しない男、トリスタン・ウォーカーの今後の事業に要注目!!

伊藤弥住子

Tristan Walker

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