Chris Tucker is Baaack!! クリス・タッカー復帰ツアー

Chris Tucker

Chris Tucker

READ IN ENGLISH

Chris Tucker is Baaack!!
クリス・タッカー復帰ツアー

過去の税金を払っていないとして12ミリオン・ドルという膨大な追徴金の支払いを命じられて財政難に窮しているクリス・タッカーの「Guess Who’s Back Tour」がソールド・アウト続出という大盛況を収め、最後のNYアポロ劇場の公演で幕を閉じました。12月の13日と14日の2回公演のうち、運良く14日のチケットを入手、3階一番後ろのステージから最も遠い席でしたが、大好きなクリス・タッカーを生で見ることができたのでさっそくレポートいたします。

前座はロンドン・ブラウンとテリー・ホッジズというふたりのコメディアンがおのおの30分ずつのステージを務めました。特に無名のロンドン・ブラウンがネタ、物真似とも素晴らしくアポロ劇場のオーディエンスを思いきり笑わせてくれました。デンゼル・ワシントンがガソリン・スタンドの従業員だったら…..という想定の物真似や、ジェイZのラップを真似てみせたり、さらにはこの日の主役、クリス・タッカーのハイパーな喋りをそのまま再現してみせたりと高度なスキルでオーディエンスを湧かせました。

待ちに待ったクリス・タッカー、ファンキーなジェームス・ブラウンの「ペイバック」をBGMに華々しくダンスしながらの登場です。最初のトピックはオープニング曲に相応しい「税金問題」。すでに「クリス・タッカー、税金地獄!IRSが12ミリオン徴収通達」とニュースで報じられているので全米ブラック・コミニティーの常識になっています。

Chris Tucker & Jackie Chan

Chris Tucker & Jackie Chan

開口一番、「 IRSはマフィアよりタチが悪い」とタイムリーなジョークでウォーム・アップ。「ラッシュ・アワー」シリーズで大スターの座を築き、続編のパート3では何と25ミリオン・ドルも稼いだというクリス。「お金がいっぱい入ってきて,隣同士の家を2軒もいっぺんに購入しちゃった。オレのお隣りさんがオレ…….なんて、わけわかんなくなっちゃったりして……(笑)。稼いだお金は全部自分のものだと思ったのに……。」と税金問題に発展した経緯をほのめかします。IRSに追われて大ピンチ、仲良しのジャッキー・チェンに相談してはみたものの、「クリス、おまえブロークなのか。ま、アメリカの国自体がブロークだからな。」と取り合ってくれないとか…….。「誰も信じちゃいけない。特にウェズリー・スナイプスから税金のアドバイスなんか聞いちゃだめだよ。‘クリス、お前、まだ国にタックスなんか払ってるのか?オレなんかブレードのヒーローだし、タックスなんか払わないぞ’なんて入れ知恵されて信じようもんなら刑務所行きだからな。」と茶化します。

この背景をよく知らない人のために付け加えておくと、ウェズリー・スナイプスは脱税容疑で有罪となり、懲役3年を言い渡され2010年より現在も服役中なのです。彼の税理士が所得税は海外での所得に対して課せられるものであって国内での収入は対象にならないと主張、それを真に受けたウェズリーが納税を拒絶、その結果裁判沙汰となり敗訴し刑務所に行くハメになりました。そんなことに取り合うなんてバカバカしいと思うかもしれませんが、実際に所得税不払い運動を起こしているAmerican Rights Litigators というが団体が存在しているのです。

Ice Cube & Chris Tucker in Friday

Ice Cube & Chris Tucker in Friday

有名人をカモにする詐欺師まがいの弁護士、会計士、ファイナンス・アドバイザーだらけのハリウッド、ウェズリーのように騙される芸能人は後を絶たないようです。クリスでなくとも猜疑心が強くなるのは当然かも知れません。クリス・タッカーと言えば、ヒップホップ・ファンからはアイス・キューブと共演した映画「フライデー」のキャラクター、いつもマリファナを吸ってぶっ飛んでいる「スモーキー」として知られています。1995年に公開された映画なのですでに17年経過しているのですが、今でも「よ〜、スモーキー!」と声をかけられるそうです。「オレのことスモーキーって呼ぶのはやめてくれ。」とファンのみなさんに訴えます。「あれはただのキャラクター、オレの演技がうますぎただけ。」と必死に嘆願。さらに、「アイス・キューブはラッパーだからな。‘フライデー’に出演した時のギャラなんかクサとCDだったんだぜ。」とジョークを飛ばします。

You Rock My World” PVで共演した仲良しのマイケル・ジャクソンのエピソードも披露。「マイケルのネヴァーランドに招待されて遊びに行ったら、窓の外にキリンが2頭現れてびっくり。マイケルになんでキリンが2頭いるの?と聞いたら、‘2頭じゃなくて3頭いるんだよ。みんなに紹介しようか’だって。マイケルの人徳なのか、彼だったら何をしても許されちゃうんだよね。電話で話していた時にいきなり思いついたのか、オレのこと‘クリスマス’って呼びはじめたことがあったんだ。‘クリスマスって響き、いいよね。ボク好きなだなぁ。これからはクリスマスって呼ぶことにする……。’なんて勝手に決められちゃった。最初は歯がゆかったけど、だんだん慣れてきちゃって……。マイケルのおかげで名前変更、今じゃオレの正式な名前は‘クリスマス・タッカー’だよ……。」とマイケルの思い出話は尽きません。

あっと言う間に2時間経過。チケット代60ドル以上たっぷり笑わせてもらいました。しばらく活動を休止していたクリス・タッカー、大盛況のうちに全米20

箇所を回った復帰ツアーの幕が降りました。今回のツアー収入で税金が払えるといいのですが……..。

(伊藤弥住子)

Leave a comment