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Nick Ashford逝去!

おしどり夫婦として親しまれていたR&Bデュオ、ニック・アッシュフォード&ヴァレリー・シンプソンの片割れ、ニック・アッシュフォードが喉頭がんのため8月22日に亡くなりました。享年69歳。ニックとヴァレリーはライター&プロデューサーとしてモータウン・レコードと契約、マービン・ゲイ、ダイアナ・ロス、タミー・テレルなどにヒット曲を提供したほか、自分たち名義で1984年に「ソリッド」などのスマッシュ・ヒットを放ちアーティストとしても大活躍をしました。メソッドマンとメアリー・J・ブライジの1995年の大ヒット曲、「You Are All I Need」も実は彼等の作品をサンプルしています。当時、ニューヨーク・タイムズに「今年の夏イチオシのビッグ・ヒット」として紹介記事が掲載されました。ヴァレリー・シンプソンは、その時の心境を次のように語っています。「アッシュフォード&シンプソンがオリジナルという表記がなくとても憤慨しました。でも、銀行口座の残高をみたらそんなことどうでもよくなりました…….。」

日本にまで伝わっていたかどうか知りませんが、アッシュフォード&シンプソンの仲の良さは有名で、「Nick & Val」と言えば仲良し夫婦をさす代名詞でした。 知り合ったのは1963年といいますから今から48年も前のことです。ニックはサウス・キャロライナの出身ですが、ミシガンのバプティスト教会でクワィアーのミュージシャンとして活動していたこともあります。もともとダンサー志望、ニューヨークで一旗揚げようと上京(アメリカではこんないい方しないですよね)したのはいいのですがうまくいかず、公園で寝ることも多くホームレスまがいの生活をしていたといいます。教会に行けばご飯が食べられると思い、ハーレムにあるWhite Rock Baptist Churchに行きました。そこで、聖歌隊のメンバーだったヴァレリー・シンプソンと初めて会ったのだそうです。運命の出会いでした。

アッシュフォード&シンプソン(A&S) はその最近までずっと音楽活動を続けていました。新しいビッグ・ヒットは出ませんでしたが、ヴァレンタイン・デーや母の日などのオールディース・ショーやイベント行事が多く、全米各地でパフォーマンスをしています。NYのブラックFMステーション、KISS FMで番組のホストをしていた時期もあります。ニックのユニークでワイルドなルックスはメディアでもよく取り上げられ、ふたりを「美女と野獣」と称することもありました。私もNYでのショーは何度か見たことがあります。バリー・ホワイト、ボビー・ウーマック、グラディス・ナイトといった昔の仲間たちとの共演も多かったようです。

20/20 & Sugar Bar

 

ふたりはニューヨークを拠点にしていました。80年代にレストラン経営にも乗り出し、マンハッタンの20丁目に「20/20(トゥウェンティ・トゥウェンティ)」というライブ設備のあるレストラン・バーをオープン、ホィットニー・ヒューストンの誕生パーティーをしたり、R&B界のセレブが集まるお店として一世を風靡しました。R&B/ソウル・アーティストのショーを定期的に開催していて、私もマーサ・ワッシュ、フレディ・ジャクソン、パティ・ラベルなどを見た記憶があります。その後90年代になってからだと思いますが、アップタウンの72丁目に「シュガー・バー」というライヴ・ハウス/レストランを開店し、ここでは毎週木曜日、アポロのアマチュア・ナイトのような素人のど自慢大会を始めたのです。素人といってもここはニューヨーク。プロ顔負けの実力のあるシンガーばかりです。レベルの高さには驚きました。レコード会社がこれからデビューさせる新人のお披露目の場として使うこともありました。いつ行っても必ずミュージシャンやスターに会えるスポット、それが「シュガー・バー」でした。

ニック・アッシュフォードのメモリアル(葬儀)は8月29日、ハーレムにあるアビシニアン・バプティスト教会で執り行われました。ヴァレリーとの間にニコール、エィジアというふたりの娘さんがいます。ハーレムにゆかりのあるアーティストがまたひとり減ってしまったのは何とも寂しい限りです。

R.I.P.

(伊藤弥住子)

One-half of legendary Motown songwriting duo Ashford & Simpson dies at 69

Nick Ashford, one-half of the legendary Motown songwriting duo Ashford & Simpson that penned elegant, soulful classics for the likes of Diana Ross and Marvin Gaye and funk hits for Chaka Khan and others, died Monday, August 22 at age 69. He had been suffering from throat cancer and had undergone radiation treatment.

Born May 4, 1942, in Fairfield, South Carolina, Nick spent time in Michigan as a child, yet kept that friendly Southern charm. Nick arrived in New York in 1964, only to discover his money was short lived.  Nick recalled of those lean days where he occasionally found himself sleeping on a park bench. One day someone told him about a Church in Harlem where he could go and get fed, so he started going there. That is where he first saw Valerie singing and playing the piano. He continued to frequent the White Rock Baptist Church where eventually he and Valerie Simpson became musical collaborators.

Though they had some of their greatest success at Motown with classics like “Ain’t No Mountain High Enough” and “Reach Out And Touch Somebody’s Hand” by Ross and “You’re All I Need To Get By” by Gaye and Tammi Terrell, Ashford & Simpson also created anthems for others, like “I’m Every Woman” by Khan (and later remade by Whitney Houston).

The duo left Motown in ’73, in part because the label refused to release an album of them performing A&S songs that had made other artists famous. In 1974 Ashford & Simpson married and launched a recording career with Warner Bros. via the album Gimme Something Real.

Minor hits followed, including “Don’t Cost You Nothin’” (1977), “It Seems to Hang On” and “Is It Still Good to Ya” (1978), “Found a Cure” (1979), “Street Corner” (1982) and their biggest single by far, “Solid” (1984), which nearly cracked the pop Top 10. The song and album of the same name topped respective R&B charts that year as well.

Four more discs followed, culminating in 1996’s The Real Thing, but by then Ashford & Simpson were more focused on charitable work and restaurant endeavors. Ashford had a small role in the 1991 film New Jack City, while the duo’s reputation got a shot of modernity late last decade, when “Ain’t No Mountain High Enough” was used as the template for now deceased Amy Winehouse‘s “Tears Dry on Their Own.”