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August Wilson’s American Century Cycle 劇作家オーガスト・ウィルソン「一世紀祭り」

Fences

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劇作家オーガスト・ウィルソン「一世紀祭り」
xっzAugust Wilson’s American Century Cycle

August Wilson

August Wilson

ピューリッツァー賞受賞劇作家、オーガスト・ウィルソンの10作品上演会がNYのグリーン・スペースにて開催されます。これはラジオ録音用で、ブロードウェイ・ショーのように豪華なセットなどはありまんせが、ベテランの俳優によるユニークな朗読会になりそうです。タイトルは「アメリカン・センチュリー・サイクル」、舞台設定は1900年から1990年まで100年(一世紀)の長きにわたります。

オーガスト・ウィルソンはピッツバーグ(ペンシルバニア州)出身、黒人奴隷や人種差別、白人による搾取に不満をもつ貧しい黒人達の生活を描いたアメリカを代表する劇作家です。音楽愛好家で、ジャズやブルース・ミュージシャンが登場する作品も多く、セリフにリズムがあって躍動感に溢れています。今回の作品は物語の舞台となる年代ごとに分けられています。チケットは$40。

Black Shakespeare

黒人社会では「ブラック・シェイクスピア」と親しまれているウィルソン劇、ハリウッドの有名俳優たちの間でも熱狂的ファン少なくありません。TV番組「コズビー・ショー」のクレア・ハクスタブルを演じた人気女優フィリシア・ラシャッド、映画「マトリックス」3部作に出演したローレンス・フィッシュバーン、黒人女優きっての演技派、アンジェラ・バセット、ハリウッドのブラック・プリンス、デンゼル・ワシントンなど、ウィルソン作品を何度も演じてきました。

スケジュール

8/26 7pm Ma Rainey’s Black Bottom
8/28 7pm Fences
9/4 7pm Joe Turner’s Come and Gone
9/9 7pm The Piano Lesson
9/11 7pm Two Trains Running
9/13 7pm Seven Guitars
9/16 7pm Jitney
9/21 7pm King Hedley II
9/24 7pm Gem of the Ocean
9/28 7pm Radio Golf

 

 : The Green Space44 Charlton Street (corner of Varick Street)New York, NY
http://www.thegreenespace.org/articles/thegreenespace/2013/jul/01/august-wilsons-american-century-cycle/

それぞれのお芝居の内容をみてみましょう。

8/26 – Ma Rainey’s Black Bottom

Whoopie Goldberg as Ma Rainey

Whoopie Goldberg as Ma Rainey

監督:Ruben Santiago-Hudson 

1920年代のシカゴ。主人公はマ・レィニーという実在のベテランの黒人女性ブルース歌手。場面はレコーディング・スタジオで、白人レーベル・オーナーがとりしきります。バンド・メンバーは長年一緒にやっているジャズ・ブルース・ミュージシャン。若いトランペット・プレーヤーのレヴィーが白人プロデューサーに取り入るため斬新なアレンジでマ・レィニーを怒らせます……。今も昔も変らない音楽業界の薄汚い裏の世界、黒人社会に今も暗い影を落とす忌まわしい奴隷制……..衝撃的な結末。2003年、NYのブロードウェイ・ショーでの上演はウッピー・ゴールドバーグがマ・レィニー役を務め話題になりました。

キャスト

マ・レィニー                  Ma Raineyシカゴのブルース歌手。

カトラー                           Custlerトロンボーン奏者。

レヴィー                           Leveeトランペット奏者、ソロ・デビューを目指す。

スロウ・ドラグ                  Slow Dragベーシスト。

トリード                           Toledoピアニスト。

8/28 – Fences

Denzel Washington as Troy

Denzel Washington as Troy

監督:Kenny Leon

1950年代のピッツバーグ。主人公のトロイ・マクソンは50代の元二グロ・リーグの花形野球選手で現在はごみ収集作業員。人種差別のせいでメジャー・リーグに入ることができなかったと信じているトロイ、プロのフットボール選手を目指す息子との確執、奥さん以外の愛人に子供を生ませたり、夢も希望もない問題だらけの人生………。ピッツバーグの黒人コミュニティーの厳しい現実をカラフルに描いたドラマ。1987年にはジェームズ・アール・ジョーンズが、2010年にはデンゼル・ワシントンがブロードウェイ・ショーでそれぞれ主役のトロイを演じてトニー賞ベスト・アクター賞を受賞。2007年、ローレンス・フィッシュバーンがトロイを、妻のローズ役をアンジェラ・バセットが演じ、ティナ・ターナーの伝記映画、「ホワット・ラヴ・ガット・トゥ・ドュ・ウィズ・イット」以来の共演となりました。

Laurence Fishburne & Angela Bassett in Fences

Laurence Fishburne & Angela Bassett in Fences

キャスト

トロイ                                Troy Maxson 53歳のごみ収集作業員。

ローズ                                Rose Maxson トロイの妻。

コーリィ                           Cory Maxson トロイとローズの長男。

ガブリエル                       Gabriel Maxson 次男。戦地で負傷、以来精神に異常をきたす。

9/4 – Joe Turner’s Come and Gone

監督:Phylicia Rashad

Phylicia Rashad

Phylicia Rashad

1910年代のピッツバーグ。元奴隷ヘラルド・ルーミスは7年間強制労働をさせられ、妻も娘も、そして人間としての目的をも失ってしまいます。やっと解放され、妻を探す果てしない旅に出ます……。舞台はピッツバーグで下宿屋を営む中年のセスとバーサ夫婦の家。ジョー・ターナーは実在のテネシー州知事、ジョー・ターネィのもじりで、ここでは南部社会の悪の根源を象徴しています。。南部では鉄道建設や工場建設などに必要な労働力を得るため、黒人たちを不当に逮捕して強制的に働かせるという悪政が横行していました。ここに登場するヘラルド・ルーミスもその犠牲者のひとり。タイトルは、突然蒸発してしまった夫やボーイフレンドの行方を尋ねる女性たちへの答え、「ジョー・ターナーがやって来て連行していった。」を意味しています。宗教色の強い人間ドラマ。

キャスト

セス・ホーリー               Seth Holly 50代。下宿屋の主で職人。

バーサ・ホーリー         Bertha Holly 下宿を切り盛りするセスの5歳年下の妻

バイナム                       Bynum Walker下宿人。怪しげな祈祷術にとり憑かれている。

ラザフォード                  Rutherford Selig 元奴隷貿易商の息子、現在は「よろず屋」。唯一の白人。

ジェレミー                       Jeremy Furlow下宿人。工事現場で働く25歳。ギターが趣味。

ヘラルド・ルーミス Herald Loomis ほんの些細なことで逮捕され7年間強制労働させられる。夏でも厚手のコートを着ている32歳。

9/9 – The Piano Lesson

監督:Ruben Santiago-Hudson 

1936年、大恐慌の悪夢から冷めやらぬピッツバーグのHill District。家族の唯一の財産、アンティーク・ピアノを巡ってチャールズ家のメンバーが繰り広げるファミリー・ドラマ。1990年にピューリッツァー賞を受賞。

キャスト

ドーカー・チャールズ               Doaker Charles チャールズ家の主、47歳。

バーニース                       Berniece ドーカーの姪、35歳。亭主に先立たれ、娘と叔父と同居。

ボーイ・ウィリー         Boy Willie バーニースの弟。刑務所から出所したばかりの30歳。

ライモン                           Lymon ボーイ・ウィリーの親友、29歳。バーニースに思いを寄せる。

9/11 – The Two Trains Running

監督:Michele Shay

1969年、ピッツバーグの黒人コミュニティー、ディストリクト・ヒル地区のダイナーのオーナーの葛藤を描いた物語。1968年4月キング牧師暗殺直後より各地で暴動が勃発、緊張感がただようピッツバーグの街では都市計画が進み、黒人たちはますます経済的に窮地へ追いやられてゆきます。立ち退きを迫られるダイナー経営者、南部出身の古い世代のメンフィス、黒人たちを追い出そうとする都市計画の反対運動に没頭する刑務所を出たばかりの若者スターリング、ブラック・コミュニティーでも価値観が異なり、ジェネレーション・ギャップが浮き彫りにされます…….。

キャスト

ハロウェイ                       Hollowayダイナーの常連。

ウルフ                                Wolf ダイナーの常連。ギャンブル目的で公衆電話を独占。

スターリング                  Sterling若いブラック・パワー運動家。

リサ                                    Risa ダイナーのウェイトレス。

ハンボーン                       Hambone 地元ホームレスの客。知恵おくれ。

メンフィス                       Memphis ダイナー経営者。

9/13 – Seven Guitars

監督:Stephen McKinley Henderson

1948年代のピッツバーグの黒人地区。ブルース・ミュージシャン、フロイド‘スクールボーイ’バートンの葬式に参列した友人たちが帰ってきたところから物語が始まります。フロイドの生前にフラッシュ・バック。90日の刑期を終えて出所してきたフロイドは元の彼女の家をたずね、一緒にシカゴに行って暮らそうともちかけます。自分たちのレコードがヒットし、マネージャーから第二弾目のレコーディングをしにシカゴに来るようオファーをもらったというのです。まだ公民権運動が叫ばれる前、黒人の男たちがデタラメな罪状をでっちあげられ逮捕されることは日常茶飯事でした。主人公のフロイドは警察に「お金をもっていない」という理由で捕まり、一緒にいたミュージシャン仲間のレッド・カーターは多額のお金を所持していたことで、「盗んだに違いない」という理由でそれぞれ投獄されました。ブラック・コミュニティーの男たちのやるせない葛藤が伝わってきます。タイトルの7ギターとは、7人の男女が織り成すそれぞれの人生の協奏曲のこと。

キャスト

フロイド・バートン     Floyd ‘Schoolboy’ Barton 主人公。ブルース・ミュージシャン。

ベラ                                    Vera フロイドの彼女。独身。

レッド・カーター         Red Carter ドラマー。

ケィンウェル                  Canewell ミュージシャン。

ルイーズ                           Louise

ルビー                                Rubyルィーズの25歳の尻軽の姪。男と別れて叔母を頼って上京。

ヘドリー                           Hedley 下宿人。ちょっと頭のおかしい養鶏オジサン。

9/16 – Jitney

監督:Ruben Santiago-Hudson 

1977年、うらびれたピッツバーグのジプシー・キャブ(Jitney)の事務所にはドライバーたちがたむろしながら仕事の電話を待っています。ライセンスもない違法な商売です。ここ、黒人地区ヒル・ディストリクトではイエロー・キャブなどという洒落たものなどないのです。オーナーの息子が刑期を終えて古巣に戻ってくるところからストーリーが展開してゆきます。

キャスト

ベッカー                      Becker ジトニーのオーナー

ブースター                  Booster ベッカーの息子。父とは折り合いが悪い。

リーナ                         Rena ボーイフレンド、ダーネルとの間に子供がいる。

ダーネル                      Darnell/Young Blood 浮気性の若い運転手。

シーリー                      Shealyジトニー運転手。

9/21 – King Hedley II

監督:Michele Shay

1985年のピッツバーグ。殺人を犯し刑期を務めシャバに戻ったキング・ヘドリー・ザ・セカンド。過去に犯した罪に苛まれ、葛藤の毎日が続きます。ガールフレンドのトーニャとまともな人生を歩もうとしますが思うようにいきません。友人のミスターとビデオの店を持とうと盗品の冷蔵庫を打って荒稼ぎをしようと企みますが……….。

キャスト

トーニャ          Tonya主人公、キング・ヘドリーのガールフレンド。妊娠を知って中絶しようか迷う。

ルビー             キングの母親。

エルモア          殺人罪で長期服役後出所、故郷ピッツバーグに帰ってくる。

キング             King Hedley II前科者で過去の罪に苛まれる。事業を始める資金集めに奔走する。

ミスター          キングの相棒。一緒にビデオ屋経営を夢見る。

9/24 – Gem of the Ocean

監督:Kenny Leon

1904年、ワイリー・アベニュー1839番地にある、自称285歳のエスターおばあさんの家で起こる現実離れしたお話。元奴隷だったエスターおばあさんは「穢れた魂を洗浄する」ことを生きがいにしています。彼女を訪れる近所人たちが繰り広げるスピリチュアルなドラマ。

キャスト

エスター・タイラー    Aunt Ester Tyler元奴隷でスピリチュアルな不思議なパワーを持つ。

シチズン・バーロー Citizen Barlowエスターの評判を聞いて訪ねてきたアラバマ出身の若者。

ソーリー                      Solly Two Kingsエスターの友達で元奴隷。

ブラック・メアリー    “Black” Mary Wilkesエスターの家政婦。

9/28 – Radio Golf

監督:Marion McClinton

1997年、ピッツバーグのヒル・ディストリクトが舞台。親から不動産業を継いだアイビー・リーグ出のエリート黒人青年、ハーモンド・ウィルクスは妻と金融関係の友人と組んで地元の土地開発の事業に乗り出します。スターバックスなど大手店テナントを入居させる高層マンション建設のプロジェクトも順調に進み、同時に初の黒人市長になろうと野心を燃やします。すべてが順風満帆、と思いきや土地買収でつまづいてしまいます……。

キャスト

ハーモンド        Harmond Wilks 不動産、土地開発業者。政界進出を狙う。

メイム                 Mame Wilksハーモンドのやり手の妻。

ルーズベルト  Roosevelt Hicksハーモンドと学生以来の友人で事業のパートナー。

(伊藤弥住子)

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[Black History Month]マルコムXミュージアム主催特別パネル・ディスカッション

Malcolm X

Malcolm X

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Black History Month
The Malcolm X Museum Presents Its Annual Commemoration of the Anniversary of the Assassination of Malcolm X / El-Hajj Malik El-Shabazz

マルコムXミュージアム主催特別パネル・ディスカッション

221日(木)630分−9時まで

@ Schomburg Center for Research in Black Culture
Malcolm X Blvd. & 135th Street, Harlem, NY   MAP

毎年2月はブラック・ヒストリー月間、全米でさまざまなイベントが開催されます。特に黒人公民権運動のために闘ったブラック・リーダーたちの活動の場だったニューヨークでは記念行事が目白押し。なかでも重要なのは毎年ハーレムのショーンバーグ・センターで行われている「マルコムXミュージアム」と題するパネル・ディスカッションです。

マルコムXが暗殺されたのは1965年2月21日、X没後48年になります。今回のテーマは「最近のメディア文化と黒人社会におけるその影響」、映画やテレビで取り上げるブラックのイメージに焦点を当てるようです。最近公開されたジェイミー・フォックス、レオナルド・デカプリオ共演映画、「ジャンゴ・アンチェインド」の 黒人奴隷の取り上げ方をめぐる論争がきっかけでこういったテーマを取り上げることにしたようです。そもそもの発端は映画監督スパイク・リーの怒りの発言でした。映画「Django Unchained」のシーンで黒人奴隷に向かって白人が「ニガー」という言葉を連発、それに憤りを感じたスパイク・リーが「差別だ、祖先への侮辱だ!こんな映画はボイコットすべき。」と騒ぎ立てたのです。確かにメディは非常に大きなパワーを持っています。私たちは知らず知らずの間に洗脳されています。

「メディアというのはこの地球上で最もパワフルだ。無罪でも有罪にすることができるし、また有罪を無罪にすることも可能だ。これはパワー以外のなにものでもない。多くの人の心を操ること、それがパワーだから。」 故マルコムXの言葉にも要約されています。

パネリストにはインディーのフィルム・メーカー、Dami Akinnusiコネチカット大学の教授、Jelani Cobb, イメージネイション・シネマ(ImageNation Cinema Foundation) 経営、Moikgantsi Kgamaを迎える予定です。いったいどんな展開になるのか…….乞うご期待。

参加費は無料ですが、すでに申込者数がキャパシティを上回りソールド・アウトとなっていますが、キャンセルがでる可能性が高いので直接会場に行ってみる価値あり、です。問い合わせ先(212)340-9502

マルコムXミュージアムというタイトルのレクチャーですが、マルコム本人と関係のある議論を繰り広げるのかとても興味津々。追ってレポート致します。

ところで、マルコムXって一体どんな人だったのでしょう。それも次回取り上げたいと思います。

(伊藤弥住子)

Thanksgiving Day! 七面鳥を無料配給!

Roast Turkey

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ンンクスギビング・デー、七面鳥を無料配給!

バスケット・ボール選手で構成する団体、NBPA (The National Basketball Players’ Association) が感謝祭の恒例「七面鳥無料配給」を今週月曜日に行いました。場所はハーレムの125丁目とレノックス・アベニュー、レストラン「レッド・ルースター」の前で長蛇の列を作って待っているハーレム地元民のために1000羽用意したターキーを配りました。毎年開催しているこのターキー祭り、貧しい地域の人たちのために全米各地で合計9000羽の七面鳥を用意し、うち1000羽はここ、ハーレムの人たちに配られました。

Turkey – Bird

でも、なぜ黒人が感謝祭をお祝いしなければいけないのでしょうか

もともと感謝際は、ヨーロッパから新天地のアメリカにやってきたピルグリムの人たちが、先住民のインディアンたちからサヴァイヴァルの仕方を教わったお返しの感謝のお祭りだったはず。ある黒人運動家の人は、「感謝祭を祝うのはインディアン大量虐殺を祝うようなもの。」と発言しています。さらに、「ヨーロッパの野蛮人の子孫たちが黒人たちを奴隷にして、アメリカに住んでいたインディアンたちを皆殺しにし、ご馳走を用意してこの人種差別の激しい帝国主義の国に住む機会を与えられたことを神に感謝する……..そんな行事にアメリカの黒人たちは迎合しなければいけないのだろうか…..。黒人が感謝祭を祝うのはまるでアメリカ人が真珠湾攻撃を祝うようなもの、はたまたユダヤ人がナチの第三帝国を賛美するようなもの…….。」と疑問を投げかけています。真実はいかに………。この機会に一度考えてみてはいかがでしょう。

伊藤弥住子