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[Black History Month#2]ブロードウェイ・デビュー最年少の黒人女性劇作家、ロレイン・ハンズベリー

Black History Month 2
Lorraine Hansberry – A Raisin In The Sun

2月は黒人歴史月間です。PBS TV(公共テレビ放送局)では、ブラック・ヒストリー・マンスのシリーズ第一弾として、「ロレイン・ハンズベリー・ドキュメンタリー映画」を放映しました。日本ではあまり知られていないかも知れませんが、ブラック・カルチャーに貢献したロレインをここで紹介したいと思います。

「ア・レーズン・イン・ザ・サン」byロレイン・ハンズベリー

女性劇作家、ロレイン・ハンズベリーのデビュー作品、「ア・レーズン・イン・ザ・サン」は今から59年前(!!!)、1959年の3月、ニューヨークのブロードウェイで幕開けをしました。史上初の黒人女性劇作家、28歳という若さでの快挙でした。作家だけでなく、監督、ほとんどの俳優たちが黒人という、これまでのブロードウェイ・ショーの常識を覆した、黒人が主役のドラマ「ア・レーズン…..」は大成功を収めました。

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ハーレム・ルネッサンスの大女優ルビー・ディー 1922-2014

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ハーレム・ルネッサンスを生きた女優、公民権運動家としても知られるルビー・ディーが91歳の生涯を終えました。NYのニュー・ロシェールの自宅で子供たち、孫たちに見守られて静かに息を引き取ったそうです。

57間連れ添った夫でやはり俳優のオッシー・ディヴィスがなくなった2005年以降も活動を続け、2007年に公開された映画、「アメリカン・ギャングスター」にデンゼル・ワシントン演ずる主役、フランク・ルーカスの母親役で出演、アカデミー賞にノミネートされています。

A Raisin in the Sun

A Raisin in the Sun

ルビーの女優としてのブレイクは1959年にオープンしたブロードウェイ・ショー「Raisin In The Sun」でした。原作は29歳の黒人女流作家、ロレイン・ハンズベリー、監督も黒人のロイド・リチャーズ、キャストも白人弁護士を除く全員が黒人という、ブロードウィ・ミュージカル史上初めてのブラック・ドラマでした。演技派の代表、シドニー・ポワチエが熱演した主人公のウォルター・リーの妻役、ルースをルビーが見事に演じ、初日から観客全員が総立ちで絶賛、1961年には同じキャストで映画化されています。シカゴの貧民街、サウス・サイドの人種差別問題を扱った「レィズン・イン・ザ・サン」は、これまでのブロードウェイ・ショーの常識を打ち破った社会派ドラマで、以後のブラック・カルチャーにも大きく波紋を投げかけた重要な作品だと言われています。

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60年代、ルビーは夫のオッシー・ディヴィスと共に、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師、マルコムX等、公民権運動のリーダーたちと共に闘い、生涯を通して黒人の人権問題人種偏見撲滅運動を推し進めてきました。

生まれはオハイオ州のクリーヴランドですが、「育ったハーレムが私の故郷」とハーレム住人としての誇りを持っていたそうです。

先週の金曜日、ニューヨークのブロードウェイ・ショーの劇場はすべて照明を落とし、ルビー・ディーの功績を讃えました。

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Martin Luther King, Jr. Day キング牧師デー

Dr. King March

Dr. King March

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Martin Luther King, Jr. Day キング牧師デー

マーティン・ルーサー・キングJr.は英雄か?

アメリカ合衆国では、毎年1月の第3週月曜日はマーティン・ルーサー・キング牧師の誕生日を祝う祝日に定められています。州によってはヒューマン・ライツ・デーと呼ばれているところもあります。広島でもこの日はノーベル平和賞を授与されたキング牧師に敬意を表して祝日として祝う、という話も聞いたことがありますが本当でしょうか。日本の場合は一都市だけ祝日というのはあまり聞いたことがないのですが…….。

アメリカ公民権運動の指導者として人権の平等を唱え、政府の弾圧と闘ったキング牧師の貢献はよく知られています。ハーレムはもちろん、黒人コミュニティーでは学校や道路、公民館などにキング牧師にちなんだ名前がつけられ、彼を英雄として讃えています。

キング牧師は、今も学校の教科書に書かれているような、非暴力主義を貫いた平和主義運動の英雄なのでしょうか。

Paul Robeson at the Peace Arch, 1952

Paul Robeson at the Peace Arch, 1952

George Schuyler

George Schuyler

1964年にノーベル平和賞がキング牧師に授与されました。この決定に真っ向から異議を唱えた作家がいました。「ピッツバーグ・クーリエー」という印刷物を刊行していたジョージ・スカイラー(George Schuyler)です。「ドクター・キングが世界平和のためにしたことといえば、全米を渡り歩いて頭の弱い人たちにクリスチャンの教えを広めて伝染病のように感染させたことくらい。しかも、レクチャー演説という名目で不当な金額の報酬をふんだくっている。」と声明を発表しようとしたのですが、あまりに過激な内容だったのでオーナーからストップがかかりました。キング牧師批判が原因でスカイラーは文壇から姿を消し、彼の過去の作品も市場からほとんど抹殺されてしまいました。

Harriet Tubman - Conductor of the Underground Railroad

Harriet Tubman – Conductor of the Underground Railroad

90年代になってスカイラーの代表作、「Black No More (邦題:もう黒くない)」、「Black Empire(邦題:黒人帝国)」がリイシューされました。「Black No More」は黒人からみたアメリカを風刺した小説です。‘白人社会における黒人たちの問題は黒人がいなくなることにより解決できるはず……..、’おりしもドイツで新しい医学の開発を研究してハーレムに戻ってきた某ドクターの新発明により、化学療法によって黒人を白人にすることが可能になり、アメリカ中の黒人がこの治療を受け白人になってしまう、というサイエンス・フィクション。登場人物も一読してそれとわかる史実の著名人ばかりで、パロディー小説としても面白い作品に仕上がっています。ブラック・コミュニティーの偽善、欺瞞、矛盾と正面から取り組んだ作品を多く発表した著者がキング牧師の業績に異論を唱えたのはなぜなのか、とても気になるところです。

Stokely Carmichael - Black Power Movement

Stokely Carmichael – Black Power Movement

Civil Rights Day

スカイラー以外にもキング牧師に批判的な人たちもいるようですが、キング牧師が人種差別反対を叫び、公民権運動のリーダーとして大きな貢献をしたことは歴史的にも明らかです。ただ、キング牧師以外にもアメリカ社会での黒人の地位向上のために闘ってきた人たちがたくさんいることも忘れてはいけないと思います。ジェームズ・ボールドウィン(作家)、ストークリー・カーマイケル(公民権運動家)、アンジェラ・ディヴィス(ブラック・パンサー運動家)ロレイン・ハンズベリー(脚本家/作家)、ハリエット・タブマン(奴隷解放運動家)、ジェームズ・ブラウン(ミュージシャン)、ポール・ローブソン(歌手/俳優)などは若いヒップホップ世代の人たちにもよく知られています。キング・デーは、そうした同じ目的のために闘ってきた多くの活動家たちの功績をいまいちど振り返るよい機会ではないかと思います。

伊藤弥住子