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[Black History Month#2]ブロードウェイ・デビュー最年少の黒人女性劇作家、ロレイン・ハンズベリー

Black History Month 2
Lorraine Hansberry – A Raisin In The Sun

2月は黒人歴史月間です。PBS TV(公共テレビ放送局)では、ブラック・ヒストリー・マンスのシリーズ第一弾として、「ロレイン・ハンズベリー・ドキュメンタリー映画」を放映しました。日本ではあまり知られていないかも知れませんが、ブラック・カルチャーに貢献したロレインをここで紹介したいと思います。

「ア・レーズン・イン・ザ・サン」byロレイン・ハンズベリー

女性劇作家、ロレイン・ハンズベリーのデビュー作品、「ア・レーズン・イン・ザ・サン」は今から59年前(!!!)、1959年の3月、ニューヨークのブロードウェイで幕開けをしました。史上初の黒人女性劇作家、28歳という若さでの快挙でした。作家だけでなく、監督、ほとんどの俳優たちが黒人という、これまでのブロードウェイ・ショーの常識を覆した、黒人が主役のドラマ「ア・レーズン…..」は大成功を収めました。

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差別と戦った日系人公民権運動家ユリ・コウチヤマをハーレム・アポロシアターがトリビュート The Apollo and WNYC honored the legacy of Japanese American civil rights activist Yuri Kochiyama

Yuri Kochiyama READ IN ENGLISH Happy MLK Day! 1月の第三月曜日、つまり今日19日はMLKことMartin Luther King Jr. Day(キング牧師デー)アメリカ公民権運動のリーダーで1968年に暗殺されたキング牧師を讃える日。特に今年は選挙権の人種による差別を禁じる連邦法Voting Rights Actが成立して50年という記念すべき年でもあります。アメリカの黒人は奴隷制解放の後も100年以上選挙権がもらえなかっただけでなく、あらゆる差別や不条理や貧困の中で生きて来た、それと戦ったのが公民権運動です。 日本からは遠い話に聞こえるかもしれませんが、実は人ごとではないです。 公民権運動がなかったら私たち日本人もこうやってニューヨークで幸せに暮らしたり、楽しく観光することもできなかったのですから ともあれ多くの催しの中から、今日は特に日本人と公民権運動とのつながりを実感させてくれたハーレム・アポロシアターで行われたイベントをご紹介しましょう。 アポロシアターのイベント「Hear Our Voices, Count Our Votes」 103937458 MLK DAYの前日行われたのがニューヨーク市営のラジオ局WNYCの主催のイベント「Hear Our Voices, Count Our Votes」。この日は朝から大雨のあいにくのお天気でしたが、アポロシアターには家族連れなど子供からお年寄りまでがぎっしり。黒人だけでなく白人やアジア人の姿も。キング牧師のレガシーを未来に伝えて行こうという強い意志が感じられます。 ニューヨークの著名なジャーナリスト、政治家、アクティビストらが50年の歴史を振り返りながら、話題は現在の問題、依然低い黒人の投票率や警察とブラック・コミュニティの関係をどうやって改善するか・・・などにも及びました。 イベントの一部はラジオ局のサイトで聞く事ができます。 http://www.wnyc.org/story/hear-our-voices-count-our-votes/ 公民権運動家ユリ・コウチヤマさん 中でも日本人として注目したいのは、公民権運動に大きな力となった女性たちへのトリビュート。いずれも去年亡くなった大女優ルビー・ディー、オバマ大統領の就任式にも登場した国民的詩人のマヤ・アンジェルーに混じってその偉業を讃えられたのは日系人の運動家ユリ・コウチヤマさんでした。 2-300x220 今回ステージに立ったのは孫のアケミ・コウチヤマさん。カリフォルニア生まれの日系アメリカ人であるユリ・コウチヤマさんが、第二次世界大戦中はアーカンソーの日系人収容所に送られたこと。戦後はニューヨーク・ハーレムに移り公民権運動に参加し特にマルコムXを支援、彼が銃弾に倒れた時その体を支えた事などを語ると、ユリさんを知らない若い世代の聴衆は大きく息を飲んでいました。 IMG_4011 今年は第二次世界大戦が終わって70年。アメリカ人でありながら「敵」としてすべてを失い収容所に送られるという不条理な体験をしたのみならず、南部の厳しい人種差別に直面し公民権運動家になったユリさんは、まさに激動の歴史は互いにつながっていることを教えてくれます。 プエルトリコの独立運動、反核、政治犯の釈放などあらゆる不平等や不当な行為と戦い続け、去年の6月、93年の波乱の生涯を閉じました。 今も世界中で続く人種間の軋轢。多くのテロ事件も人種差別や偏見と大きくかかわっています。奴隷制という人類史上最悪の負の遺産と、黒人はどう戦って来たのか? 公民権運動の歴史を知る事は、たった今の世界を理解することでもあります。 (シェリーめぐみ)

ハーレム・ルネッサンスの大女優ルビー・ディー 1922-2014

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ハーレム・ルネッサンスを生きた女優、公民権運動家としても知られるルビー・ディーが91歳の生涯を終えました。NYのニュー・ロシェールの自宅で子供たち、孫たちに見守られて静かに息を引き取ったそうです。

57間連れ添った夫でやはり俳優のオッシー・ディヴィスがなくなった2005年以降も活動を続け、2007年に公開された映画、「アメリカン・ギャングスター」にデンゼル・ワシントン演ずる主役、フランク・ルーカスの母親役で出演、アカデミー賞にノミネートされています。

A Raisin in the Sun

A Raisin in the Sun

ルビーの女優としてのブレイクは1959年にオープンしたブロードウェイ・ショー「Raisin In The Sun」でした。原作は29歳の黒人女流作家、ロレイン・ハンズベリー、監督も黒人のロイド・リチャーズ、キャストも白人弁護士を除く全員が黒人という、ブロードウィ・ミュージカル史上初めてのブラック・ドラマでした。演技派の代表、シドニー・ポワチエが熱演した主人公のウォルター・リーの妻役、ルースをルビーが見事に演じ、初日から観客全員が総立ちで絶賛、1961年には同じキャストで映画化されています。シカゴの貧民街、サウス・サイドの人種差別問題を扱った「レィズン・イン・ザ・サン」は、これまでのブロードウェイ・ショーの常識を打ち破った社会派ドラマで、以後のブラック・カルチャーにも大きく波紋を投げかけた重要な作品だと言われています。

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60年代、ルビーは夫のオッシー・ディヴィスと共に、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師、マルコムX等、公民権運動のリーダーたちと共に闘い、生涯を通して黒人の人権問題人種偏見撲滅運動を推し進めてきました。

生まれはオハイオ州のクリーヴランドですが、「育ったハーレムが私の故郷」とハーレム住人としての誇りを持っていたそうです。

先週の金曜日、ニューヨークのブロードウェイ・ショーの劇場はすべて照明を落とし、ルビー・ディーの功績を讃えました。

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