Tag Archives: ハーレム・ルネッサンス

[Black History Month#4]フォークロア作家、ゾラ・ニール・ハーストン

Black History Month 4
Zora Neale Hurston – Spunk

2月は黒人歴史月間です。

フォークロア作家のゾラ・ニール・ハーストンを紹介したいと思います。ラングストン・ヒューズと共に、ハーレム・ルネッサンスの中心的存在のゾラはとても個性的な女性でした。まず、生い立ちがユニークなのです。フロリダはオーランドの近く、アメリカで初の黒人自治区、イートンヴィルという町でゾラは育ちました。127年も前、1891生まれですが、古さを感じさせないのです。父親は選挙で2回当選し、市長を務めた有力者です。町の役場や工場、パン屋さんなどに勤める人たちも全員黒人という環境で自由を謳歌していたのが、のちに民話を元に黒人たちの日常をテーマにした作品をたくさん世に発表した作家、ゾラ・ニール・ハーストンです。

オフ・ブロードウェイ作品、「スパンク」

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ハーレム・ルネッサンスの大女優ルビー・ディー 1922-2014

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ハーレム・ルネッサンスを生きた女優、公民権運動家としても知られるルビー・ディーが91歳の生涯を終えました。NYのニュー・ロシェールの自宅で子供たち、孫たちに見守られて静かに息を引き取ったそうです。

57間連れ添った夫でやはり俳優のオッシー・ディヴィスがなくなった2005年以降も活動を続け、2007年に公開された映画、「アメリカン・ギャングスター」にデンゼル・ワシントン演ずる主役、フランク・ルーカスの母親役で出演、アカデミー賞にノミネートされています。

A Raisin in the Sun

A Raisin in the Sun

ルビーの女優としてのブレイクは1959年にオープンしたブロードウェイ・ショー「Raisin In The Sun」でした。原作は29歳の黒人女流作家、ロレイン・ハンズベリー、監督も黒人のロイド・リチャーズ、キャストも白人弁護士を除く全員が黒人という、ブロードウィ・ミュージカル史上初めてのブラック・ドラマでした。演技派の代表、シドニー・ポワチエが熱演した主人公のウォルター・リーの妻役、ルースをルビーが見事に演じ、初日から観客全員が総立ちで絶賛、1961年には同じキャストで映画化されています。シカゴの貧民街、サウス・サイドの人種差別問題を扱った「レィズン・イン・ザ・サン」は、これまでのブロードウェイ・ショーの常識を打ち破った社会派ドラマで、以後のブラック・カルチャーにも大きく波紋を投げかけた重要な作品だと言われています。

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60年代、ルビーは夫のオッシー・ディヴィスと共に、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師、マルコムX等、公民権運動のリーダーたちと共に闘い、生涯を通して黒人の人権問題人種偏見撲滅運動を推し進めてきました。

生まれはオハイオ州のクリーヴランドですが、「育ったハーレムが私の故郷」とハーレム住人としての誇りを持っていたそうです。

先週の金曜日、ニューヨークのブロードウェイ・ショーの劇場はすべて照明を落とし、ルビー・ディーの功績を讃えました。

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ホリデー特別映画「ブラック・ネィティヴィティ(クリスマス・キャロル黒人版)」いよいよ公開!Holiday Movie “Black Nativity”

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Black Nativity – 2013 Holiday Film

R&Bヒップホップ・スター総出演! R&B Singer Tyreese, Mary J. Blige, Jennifer Hudson, Rapper Nas

フォレスト・ウィタカー、アンジェラ・バセットなどベテラン俳優のほか、ジェニファー・ハドソン、タイリース、メアリーJブライジ、ナズなどミュージシャンが出演している「ブラック・ネィティヴィティ」はこのホリデー・シーズン必見の映画です。ネィティヴィティというのは 聖書に基づいたイエス・キリスト生誕にまつわるお話で、 毎年、クリスマス・シーズンになるとTVや映画、芝居で取り上げられます。日本でも年の暮れに「忠臣蔵」がTV放映されるのと似ています。内容は全然違いますが…….。

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Langston Hughes 原作

原作は、ハーレム・ルネッサンス時代を築いた有名作家/詩人のラングストン・ヒューズが1961年に書いたゴスペル・ミュージカル、「Black Nativity」で、ブラック・コミュニティの教会を舞台に、アフリカン・アメリカンたちのスピリチュアルな側面を描いています。オリジナル作品は61年にオフ・ブロードウェイで上演され、初期のアフリカン・アメリカンのミュージカルとして評判になりました。その後、ボストンのトレモント・テンプル、そして、ニューヨークのリンカーン・センターでも上演されました。総勢160人のゴスペル・シンガーたちが出演したといいますから、その迫力は想像を絶するものだったのではないでしょうか。

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2013映画ヴァージョン 

このサンクスギビング(11月27日)に公開される映画、「Black Nativity」は、一説によると原作にあまり忠実ではなく、曲目も芝居で歌われたものとはだいぶ違っているとのこと。ま、ハリウッドですから……..。ストーリーは、主人公のバルチモアの少年、ラングストン(17歳のR&B歌手、ジェィコブ・ラチモア)がニューヨークに住む牧師の祖父母(フォレスト・ウィタカー、アンジェラ・バセット)とクリスマスを過ごすために訪ねて来るところから始まります。ストリート育ちのラングストンは、敬虔でとても厳しい祖父とソリが合わず、バルチモアにいるシングル・マザーの母親(ジェニファー・ハドソン)のもとに帰りたいと切望します。謎のキャラクター(タイリース)が登場したり、ホームレス役でルーク・ジェームスが出演していたり、メアリーJブライジもエンジェルとして参加していたりと、かなり今風でファンキーな物語に仕上がっているようです。気になるのがラッパーのナズ。予言者、イザイアのストリート・ヴァージョンを演じているとか…….。自称「ゴッド・サン」のナズ、実はかなりの読書家で、このプロジェクトを選んだのも、原作が詩人のラングストン・ヒューズのミュージカルだからという理由だそうです。

サントラ情報Music From The Motion Picture Black Nativity (RCA Records)

サントラは米国で11月5日にリリースされました。トラディショナル・ゴスペル、スピリチュアル、モダン・ゴスペルのアルバムですが、プロデューサーが元トニー・トニー・トニーのラファエル・サディークというのがとても興味深いと思います。

トラック・リスト

1.    Be Grateful – Forest Whitaker & Jennifer Hudson

2.    Coldest Town* – Jacob Latimore

3.    Test Of Faith* – Jennifer Hudson

4.    Motherless Child – Jacob Latimore feat. Nas

5.    Hush Child (Get You Through This Silent Night) – Jennifer Hudson, Luke James, Grace Gibson & Jacob Latimore

6.    He Loves Me Still* – Angela Bassett & Jennifer Hudson

7.    Can’t Stop Praising His Name – Forest Whitaker

8.    Sweet Little Jesus Boy – Tyrese

9.    Rise Up Shepherd and Follow – Mary J. Blige & Nas

10.   Fix Me Jesus  – Jennifer Hudson

11.   Jesus On the Mainline – Forest Whitaker

12.   As – Cast

*New original song.

伊藤弥住子