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スティービー・ワンダーが「あの名曲」を贈った相手は?Happy Birthday Martin Luther King Jr.!! マーティン・ルーサー・キング・デー

 

ДЕНЬ МАРТИНА ЛЮТЕРА КИНГА

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1月15日はマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師の誕生日です。公民権運動の父としてアフリカン・アメリカンたちの生活向上のために闘ったキング牧師の功績を讃え、アメリカ政府は1月3週目の月曜日を祝日「マーティン・ルーサー・キング・デー」に定めました。今年は1月18日が「キング・デー」の祭日にあたります。

MLK March
実は、ここに至るまでには長い年月がかかりました。キング牧師が暗殺された1968年、4月4日(享年39歳!)直後より彼の功績を讃えて1月15日を祝日にしよう、という運動が始まりました。沢山の政治家やアクティヴィスト、エンターティナー達が参加しましたが、中でも有名なのがスティーヴィー・ワンダーです。モータウン・レコード在籍時代、南部をツアーした際に直接体験した人種差別は忘れられません。アラバマ州ではツアー・バスをいきなりライフルで射撃されたり、石を投げられたり……。目の見えないスティーヴィー少年は、「なぜ黒人は嫌われるの…….?」という素朴な疑問を抱くようになります。公民権運動が盛んになる1960代、キング牧師率いる、黒人人権擁護のための闘いがブラック・コミュニティーの間で広まってゆきました。すでにアーティストとしてスターの座を築いていたスティーヴィー少年もアクティヴィストとして活動を始めました。15歳の時、シカゴでのフリーダム・ラリー集会でキング牧師に会って握手をしたことはスティーヴィー少年にとって一生の宝となりました。

Martin-Luther-King-Day3

スティーヴィー・ワンダーを筆頭に、沢山の人たちの支持を得て、やっとマーティン・ルーサー・キング・デーが正式に承認されたのはレーガン政権の1983年です。ところが、実際に全米でこの日を祝日に定め、学校や銀行のお休みが実施されるようになったのは、さらにその3年後の1986年になってからです。

Happy Birhday

今日、スティーヴィー・ワンダーがマーティン・ルーサー・キング・ジュニアに捧げた「ハッピー・バースデー」は、キング牧師賛歌として全米で歌われています。

伊藤 弥住子

今週末のニューヨーク無料ライヴ[ヒップホップ40周年記念コンサート][DJスピナ+スティービー・ワンダー・ドキュメンタリー]

Back in the days

Back in the days

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City of New York Parks & Recreation

Concerts Events

 今週のニューヨーク無料ライヴ

ニューヨークの魅力のひとつはタダで一流のエンターティンメントを楽しめること。今週末も無料コンサートがたくさんあります。その中からR&B、 Hip-Hop系のフリー・イベントをご紹介しましょう。

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8月10日(土)         DJ クール・ハークによる「ヒップホップ40周年記念コンサート」ロクサーン・シャンテ、ラキム、ビッグ・ダディ・ケイン、DJプレミア、マーリー・マールその他豪華ゲスト総出演!

Saturday, August 10, 2013
@ Rumsey Playfield in Central Park, Manhattan MAP
3:00pm – 7pm

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DJクール・ハークがブロンクスの路上で2台のターンテーブルを回し、爆音でレコードをかけて野外パーティーを始めたのが「ヒップホップの誕生」と言われています。1973年のことです。今年はその40周年にあたるというのでその記念コンサートを大々的に行うことになりました。場所はオリジナルのブロンクスではなく、誰もが知っているセントラル・パークです。もちろん、入場は無料です。

Rakim

Rakim

オールド・スクール・ヒップホップを代表するラッパー、ラキームをはじめ、大御所のビッグ・ダディ・ケイン、女ラッパーの草分け、ロクサーン・シャンテ、そして日本人に特に人気のあるDJプレミアマーリー・マールなどビッグなアーティストたちが総出演します。お天気も晴の予報がでています。コンサートは午後3時から。まだまだ暑いので帽子と水持参で行くことをおすすめします。

Roxanne Shante

Roxanne Shante

8月11日(日) 「ホッター・ザン・ジュライ」スティーヴィー・ワンダー、BBC制作ドキュメンタリー映画上映/音楽担当DJスピナ 

Sunday, August 11, 2013
7:00pm – 9:30pm
@ Marcus Garvey Park
Madison Ave, E. 120 St. to E. 124 St., Manhattan  MAP

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DJ Spinna

DJ Spinna

アメリカ人も日本人もみんなが大好きなスティーヴィー・ワンダーの偉業を讃えるイヴェントが開催されます。ハイライトはイギリスのBBCテレビ制作のドキュメンタリー映画「Hotter Than July」。スティーヴィーの1980-1981全米ツアーのリハーサル風景や本人のインタビューなど、レアな映像を収録した貴重なフィルムだそうです。また、「ソウル・トレイン」のパフォーマンス・フィルムなども公開される予定。

Stevie Wonder

Stevie Wonder

音楽担当は、毎年のように日本に行っているこだわり派DJの代表格、DJスピナ。プロデューサー、リミックサーとしても大活躍、これまでにエミネム、モスデフ、タリブ・クウェリ、ブランド・ヌビアン、グールー、ジャングル・ブラザースなどとのコラボ作品を残し、ヒップホップ界に大きな貢献をしています。さて、そのDJスピナがどんなセットを展開してくれるのか楽しみですね。

 伊藤弥住子

Motown: The Musical モータウン・ザ・ミュージカル絶賛上演中![ネタバレ注意!]

Motown: The Musical Lunt-Fontanne Theatre

「モータウン」ミュージカル  絶賛上演中!

「モータウン」が大絶賛されています。久々のブラック・ミュージック中心のミュージカルとあって、ハーレム2ニッポンのスタッフ、私のほかシェリーめぐみ、ケン・シモンズ、ばらばらでしたが見てきました。それぞれ不満な箇所はいくつかありましたが、エンターティンメント性の高い素晴らしいショーに仕上がっているという点では全員一致、ぜひ観てほしいと思います。正式スタートは4月14日でしたがすでに今月のチケットは完売、5月末まで入手困難だそうです。以下、ストーリーと私の個人的な感想をレポートします。これから観る予定の方は楽しみが半減してしまうかもしれないのでご覧になったあとにお読みいただくことをお薦めします。

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motown-on-broadway-photo

チケット$57より

http://www.ticketmaster.com/Motown-The-Musical-tickets/artist/1776746

@ Lunt-Fontanne Theatre,
205 West 46th Street,
New York, NY
MAP

Motown: The Musical モータウン・ザ・ミュージカル絶賛上演中![ネタバレ注意!]part-2 The Story

MotownTheMusicalOfficialBro

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Motown 25 Yesterday, Today, Forever

第一幕は1983年、ロスアンジェルスのパサデナ・シビック・オーディトリアムで開かれた「モータウン25周年記念イベント」。まだ現役のテンプテーションズ、フォー・トップスのショーが開催されています。 各グループのヒット曲のメドレーが圧巻です。”Standing On The Top,” ”She Used To Be My Girl,”など各グループの持ち歌のほか、”Dancing In The Street”などモータウン・カタログの中でもアップテンポ曲にダンサーたちを交え、いかにもブロードウェー・ショー的なきらびやかなダンス・シーンが繰り広げられます。初期のモータウン在籍アーティストはみんな歌だけでなく踊りも本格的にレッスンを受けていたのでパフォーマンスは完璧でした。さすがにミュージカル化されているこのショーはドキュメンタリーではないのでそのへんは期待はずれ、ダンスの場面はあまり多くないほうがよいのでは……、というのが私の正直な感想です。

フラッシュ・バックして舞台は1938年のデトロイト、ゴーディー家のリビング・ルームに移ります。ラジオから初の黒人野球選手、ジョー・ルイスの活躍が伝わります。9歳のベリー少年は黒人でもがんばれば何でもできる、と大興奮、その感動が将来のベリー・ゴーディーの基礎となることをほのめかします。

黒人社長ベリー・ゴーディー(BG)の誕生

Motown: The Musical Lunt-Fontanne Theatre当時のデトロイトには自動車産業しかありませんでした。1957年、若きベリー・ゴーディーは他のひとたち同様、フォード自動車工場で働いていました。音楽制作にのめりこんでいたベリーはいつか有名な音楽ライター/プロデューサーになりたいと曲作りに励みます。すでに地元のスターだったジャッキー・ウィルソンのために作った曲、「Reet Petite」が採用されたことをきっかけに音楽業界に入ることを決意。1959年、よき理解者の姉、グウェンをはじめとするゴーディー家の家族全員のサポートを受け、新しいレコード会社を設立します。自動車の街、デトロイトのニックネーム、モーター・タウンをもじって「モータウン」と名付けます。このあたり、やはりビジョンがあったのでしょう。オリジナル・アイディアの溢れる人、それがベリー・ゴーディーなのだと思います。最初にリクルートしたのはストリート・コーナーで歌っていたスモーキー・ロビンソンです。50年代はドゥワップが主流で、4、5人でグループを作ってハモっている黒人たちがたくさんいました。スモーキーも例に洩れず、クローディアという女性をふくむハーモニー・グループ、ミラクルズを結成してデビューのチャンスを掴もうと必死でした。”Shop Around,” “Got a Job” など、ストーリーは全てモータウンのヒット曲で綴られていきます。当時の社会背景などを反映しながら早いテンポで展開してゆきます。

Motown: The Musical Lunt-Fontanne TheatreSound Of Young America

モータウンの成功はそのマーケティング戦略とタレント養成プログラムにあるといわれています。新人タレントは歌や踊りのレッスンだけでなく、服の着こなし、身のこなし方、インタビューの答え方など、ショー・ビジネスのマナーをとことん叩き込まれます。そのシーンは残念ながらありませんが、毎週月曜日の朝行われていたリリース選曲審査会議、「マンデー・ミーティング」を再現しています。これは、多数決で、リリース曲を選ぶというものです。参加者は社長のベリー、タレント発掘及びソング・ライターのスモーキー・ロビンソン、ライター・チームのホランド・ドジャー・ホランド、ミッキー・スチーヴンソン、ノーマン・ウィトフィールド、プロモーション担当のスザンヌ・デ・パッシ、ハーヴァード出身の白人販促担当など。テレビが普及する前のアメリカ、全米のラジオ局に新譜を配ってオン・エアしてもらうというのがプロモの王道だった時代です。ブラック・ミュージックというのを全面にださず、「サウンド・オブ・ヤング・アメリカ」というコンセプトを打ち出し宣伝活動を展開しました。賢いやり方です。モータウンのマーケティングを操っていたのは全員ハーヴァード大学出の白人エリートだったというのを聞いたことがあります。なるほど…….。

Motown: The Musical Lunt-Fontanne Theatreモータウンのスタジオ、「ヒッツヴィル」ではスタッフ・ライターがいつも音楽制作をしていました。スモーキー・ロビンソンをはじめ、、ミュージシャンのジェームス・ジャミソン、ベニー・ベンジャミン、振り付け師のコリー・アトキンス等がつねにスタジオで作業していたそうです。マーヴィン・ゲイもドラマーとしてマーヴァレッツのセッションに参加するなど、アーティストたちはファミリー的なつき合いをしていたようです。そんな昔のモータウンのほのぼのした一面が伝わってきます。ステージには60年代に活躍したモータウン・アーティストたちが次々と登場してヒット曲を披露していきます。衣装もキラキラと豪華です。たぶん、実際のアーティストたちが着ていたコスチュームより派手め、ハリウッド的な演出が伺えます。

ベリーとダイアナ、シュープリームの終焉

Motown: The Musical Lunt-Fontanne Theatre物語の中心はモータウン社長のベリー・ゴーディー・ジュニアとシュープリームスのメンバー、ダイアナ・ロスとの恋愛です。本人たちは隠していたようですが、所属アーティスト、従業員たち、誰もが知っていました。ダイアナばかり可愛がったことで、ほかのメンバー、メアリー・ウィルソン、フローレンス・バラッドとの関係に亀裂が入り、やる気をなくしたフローレンスはリハーサルに遅刻してきたり、ずる休みをするようになり、やがてグループをクビになります。かわりにシンディー・バードソングが加入しますが、69年にとうとうシュープリームは解散することになります。それにしても、”Come See About Me,” “Love Child,” ”Stop in the Name of Love,” “Where Did Our Love Go” などシュープリームスのヒット曲が多いのにはあらためて驚かされます。

Motown: The Musical Lunt-Fontanne Theatre60年代のスターたちは全米をツアーし、一日に2〜3回のショーをやるのは当たり前でした。なかでも「モータウン・レビュー」というツアーは大評判でした。売れっ子のスモーキー・ロビンソン、メアリー・ウェルズ、スティーヴィー・ワンダー、テンプテーションズ、フォー・トップス、コントゥアーズ、グラディス・ナイト&ザ・ピップスなどパフォーマンスを再現、とても充実しています。シュープリームスがデビュー当時、全く売れなかったというエピソードも紹介されます。

PART 3
ダイアナ・ロス役ヴァリシア・ルケイ熱演

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