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クエスト・ラブも応援!Pファンクの草分け、ジョージ・クリントン自叙伝を出版! George Clintn and Questlove @ Schomburg Center

George Clintony at
“Brothas Be, Yo Like George,
Ain’t that Funkin’ Kinda Hard on You?”

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ハロウィーンのシーズンには必ず大きなライヴ・コンサートをすることで有名なPファンクの王様、ジョージ・クリントンが自叙伝を出版しました。タイトルは、過去に本人がリリースしたファンキーでぶっとんだ曲名、「Ain’t that Funkin’ Kinda Hard on You?」をそのまま使うことにしたそうです。現在、全米をツアー中。

George Clinton - Book
ジョージ・クリントン出版記念イベント @ ハーレムSchomburg Center

Questlove and Georgeアポロ劇場などでもパフォーマンスをしてきたジョージにとって、ハーレムは心の故郷です。本のプロモーションで各地を回っているジョージ、ハーレムにあるショーンバーグ・センターにも立ち寄ってくれました。10月28日、進行役にザ・ルーツのリーダー、クエスト・ラヴを迎え、ジョージ・クリントンの本出版記念イベントが開催されました。ニューヨークの他、ボストンやロスアンジェルスなど各地でプロモ・イベントを行いましたが、ハーレムでのイベントはなんと無料、コミュニティーのみなさんへの恩返し…….、ハーレムは黒人にとって魂のルーツなのだということをあらためて認識させてくれました。

george-clinton-200x200登場するなり、いきなり「379ページを読んでほしい。この本を書こうと思ったのは、このページにあるコピーライトのことを書きたかったから。」とコメント。ジョージによると、レコード会社は不法に彼のコピーライトの権利を剥奪し、その結果、印税やサンプル料が彼に入らない仕組みになっているとのこと。自分も弁護士を雇ったのですが、その弁護士でさえもレコード会社からもっと高い報酬で雇われ、依頼主であるジョージを反対に訴えたり、と悲惨な状況なのだそうです。

ジョージがクラックやコカインでハイになっている間に、見たこともない契約書に彼の署名がコピペされ、自ら著作権を放棄したことになっていたとか…..。「何て卑劣な!」と気が付いたのはだいぶ後になってからでした。ジョージはこれを教訓として、ここ数年はドラッグをすっかりやめて頭をすっきりさせ、薬物につぎ込むお金を全部弁護士の費用にあててレコード会社との闘いをする、と決意したのです。「これはオレだけの問題じゃないんだ。スライ・ストーンや他のミュージシャンも同じ、みんなレコード会社に騙されて正当な収入を得られないのが現状。」といいます。

「スヌープ・ドッグやドクター・ドレ、エミネム、ジェイZなど、ラッパーたちがオレの曲をサンプルして払った巨額の金は全部レコード会社がフトコロに入れてオレには一銭も入らない。ひどい話さ。」とジョージはぶちまけます。

特にヒップホップ界でサンプルされまくりのジョージ・クリントンにクエスト・ラヴがすかさず突っ込みます。「一番あなたのサンプルをうまく使ったと思うのは誰ですか?」という質問には、「パブリック・エネミーだね。」と答えています。「とにかく元の曲がわからないくらいチョップ・アップしているし、出来上がった曲が新鮮でとてもクリエィティヴ、こんな風に使われるのだったら本望だね。」と手放しで褒め称えています。「9歳児の意見を尊重しないといけない!」というのがジョージの持論です。常に新しい音楽に反応する若い人たちの耳を侮ってはいけない、というのがその理由。今でもケンドリック・ラマーなど第一線で活躍しているラッパーとのコラボで注目されているジョージ、そんなところに成功の秘密が隠されていたのですね。

ジョージ・クリントンが音楽をやろうと志したのは1950年代後半、ドゥーワップ・ブームの真っ盛りの頃でした。「Why Do Fools Fall In Love」が一世を風靡、フランキー・ライモンは全米のブラック・ティーンたちの憧れの的でした。あのマイケル・ジャクソンもフランキーに強く刺激されたそうです。もともとドゥーワップ・スタイルのグループでスタートしたジョージ・クリントンがなぜPファンクの草分け的存在に……..?その答えを知りたい人はぜひ、彼の自叙伝、“Brothas Be, Yo Like George, Ain’t that Funkin’ Kinda Hard on You?” を読んでみてください。

Brothas Be, Yo Like George, Ain’t That Funkin’ Kinda Hard on You?: A Memoir

伊藤 弥住子