2パック伝記映画 All Eyez On Me 賛否両論 Jada Pinkett-Smith Slams Tupac Shakur Biopic ‘All Eyez on Me’

ENGLISH – read this excellent Rolling Stone Magazine Article 

結論から言うと、期待していなかっただけに、わりと面白かったです。2パック役のディミートリウス・シップ.ジュニアが予想に反して、とても頑張ってくれて少しほっとしました。

Danai Gurira stars in ALL EYEZ ON ME
Photo: Quantrell Colbert

オープニングのショットはニューヨークのイースト・ハーレム。物語は、ブラック・パンサーのメンバーだった2パックの母親、身重のアフェニ・シャクールがニューヨークの刑務所から出所するところから始まります。

私たち日本人だけでなく、最近の黒人の人たちにとっても、1960年代後半に西海岸のオークランドで台頭してきた「ブラック・パンサー」のコンセプトやその影響を正しく理解している人は多くありません。1960年代のアメリカは、まだ人種差別が激しく、黒人たちは理由もなく警察から尋問を受けたり、殴られたり、金品を没収されたりしていました。

ブラックというだけで差別されるなんて許せない、武力で対抗してやる、とオークランドの地元民を煽って「ブラック・パンサー」という団体を立ち上げたのが、ヒューイ・P・ニュートン、ボビー・シール達でした。彼らは、オークランドの大学生で、地元で頻繁に発生していた警察の黒人に対する過度の暴力を阻止する目的でパトロールを始めたのです。それがブラック・パンサーの主な活動でした。つまり、自分たちのコミュニティーを守ろうとしたわけです。

学生運動から派生したBlack Pantherのメンバーはみんな若く、リーダーも20歳そこそこ、非現実的な理想を掲げた団体という一面もありました。そのあたりをもう少し掘り下げてくれたら、もっと母親、アフェニと2パックの関係がわかりやすかったのでは、とちょっと残念です。カルフォルニアで育ち、黒人たちの日々の葛藤を描いた1991年の映画、「Boyz n the Hood」の監督、ジョン・シングルトンだったらもっと描き方が違っただろう、と想像するとやはり残念です。


前半は、獄中の2パックにジャーナリスト(ヒル・ハーパー)がインタビューするという形式でストーリーが進展してゆきます。実際に、彼がクリントン刑務所で服役していた時にTVインタビューが何回か行われています。

2パックはバルチモアの高校で演劇などを学んでいました。その時に知り合ったのが同じ学校に通っていたジェイダ・ピンケット(ウィル・スミスの奥さん)です。お互い、「ソウル・メイト」と呼べる親友だったと言います。ジェイダ本人から、「私と2パックとの関係が、映画では正しく描かれていない」とチェックが入っています。

西を代表する2パックですが、NYでも大人気で、特に容赦のない体制への批判は東のファンの間でも注目されていました。1993年11月、2パックは、ニューヨークのクラブ「ネルズ」で知り合った女性をレイプした容疑で逮捕されました。メディアは「ヒップホップ界のやんちゃ坊主」と騒ぎ立てました。私も、記者会見に出席したことがあるのですが、報道陣に向かって2パックがつばを吐き、「メディアなんか糞くらえ!」と怒りをぶちまけていたのが印象的でした。

映画の中でも、このレイプ事件が登場します。普段から反抗的だったのが祟ったのか、2パックは有罪判決を受け、ニューヨーク州の北にある、通称シベリア、クリントン刑務所に服役することになります。

「Keep Your Head UP」「 I Get Around」など大ヒットを飛ばし絶好調の2パックでしたが、次々と災難に見舞われます。1994年11月30日、マンハッタンのクワォッド・スタジオを訪れた2パックは、エレベーターに乗り込んだところを暴漢に襲われ、なんと5発も撃たれたのです。スタジオにはPディディー、ビギー、アンドレ・ハレルなど、東を代表するヒップホップ界の重鎮たちがいました…..。

映画の中でも、彼の人生の中での重要なイベントは描写されているのですが、アーティストとしての2パックの音楽性、ビジョンといった要素が明確にされていないのです。自身のグループ、アウトローズの活動など、この映画からは何も伝わってきません。

「この人、こんな優しい面があったんだぁ」とか、「思っていた人物像と違った」といった驚きや感動がドキュメンタリー映画の醍醐味なのですが、「All Eyez On Me」はそれがありませんでした。豪華なパーティー・シーンや、シュグ・ナイトを囲んでのディナー・テーブルのシーンなど、ビジュアルで楽しませる娯楽作品に仕上がっていますが、まるで、長いミュージック・ビデオというのが私の感想です。

伊藤 弥住子

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