August Wilson’s 20th Century: Jitney
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「ゲトーのシェークスピア」と親しまれているのが、詩人で劇作家のオーガスト・ウィルソンです。ピッツバーグの出身で、地元の黒人のコミュニティーを描いた作品の数々を発表しました。今、ニューヨークのブロードウェイで上演中のウィルソン作品、「ジットニー」は、彼の代表的な20世紀のピッツバーグ・サイクルという企画(10作品)のうち、最も自叙伝的な芝居だと言われています。
音楽業界でも賢いことで知られるジョン・レジェンドがプロデュースした、というのも話題になっています。本人曰く、「僕は、オーガスト・ウィルソンの大ファンなんです。彼の描くキャラクターは僕の周りにもよくいるタイプでとても親近感が湧きますね。僕も中西部の出身だし、父は工場で働いていたし、叔父は郵便配達をしていたし、ごく普通の人たちばかり。涙あり、笑いあり、登場人物たちが織り成すドラマは、ブラック・コミュニティーそのもの。ウィルソンは偉大な劇作家です。」
ペンシルバニア大学で英文学(主にアフリカン・アメリカン文学)を専攻したジョン・レジェンドも大絶賛のドラマ、「ジットニー」、上演は3月12日が最終日です。もし、チャンスがあれば是非見てください。

Jitney
AUGUST WILSON’S JITNEY
Broadway premiere directed by Ruben Santiago-Hudson
With Harvy Blanks, Anthony Chisholm, Brandon J. Dirden, André Holland, Carra Patterson, Michael Potts, Keith Randolph Smith, Ray Anthony Thomas, John Douglas Thompson
あらすじ
1977年、うらびれたピッツバーグのジプシー・キャブ(Jitney)の事務所にはドライバーたちがたむろしながら仕事の電話を待っています。ライセンスもない違法な商売です。ここ、貧しい黒人地区、ヒル・ディストリクトには「イエロー・キャブ」などという洒落たものなどないのです。オーナー、ジム・ベッカーの息子が20年の刑期を終えて戻ってくるところからストーリーが展開してゆきます。市の再開発の一環で、ここ、ゲトーにも立ち退き命令が出されます。市の役員から、「あと2週間で立ち退くように」との伝達が…….。
監督:ルーベン・サンチアーゴ・ハドソン
キャスト
シーリー: ナンバー(宝くじ)売り、ジットニー事務所の公衆電話で商売をしている。
ベッカ―: ジットニー(ジプシー・キャブ))会社のボス。一人息子のブースターが服役中の20年間、一度も面会に行ったことがない。
フィールディング: 運転手。元有名エンターティナーのお抱えティラーだったことが自慢。アル中。
フィルモア: 客。地元のホテルでドアマンをしている。甲斐性なしで女房から家を追い出される。
ターンボー: 運転手。ゴシップ好きで喧嘩っ早い。
ダブ: 運転手。朝鮮戦争での兵役経験がある。
ヤングブラッド: ジットニー唯一の若手運転手。ガールフレンドとの間に2歳の子供がいる。彼女に内緒で秘かに家を購入、驚かそうと企んでいる。
ブースター: ジッドニーのオーナーの息子。白人の元彼女を殺した殺人罪で死刑を宣告され、のちに減刑、20年で出所。
リーナ: ヤングブラッドのガールフレンド。
Jitney
By August Wilson
Samuel J. Friedman Theatre
261 West 47th Street
Through March 12