「ブラック・メサィア」アルバムを完成させたディアンジェロが “Second Coming Tour” を開始しました。ヨーロッパに出発する直前2月7日、土曜日の夜、ハーレムのアポロ劇場でライヴを行いました。1,500席しかない会場はもちろん、チケット発売と同時に完売、アポロ劇場の外にはダフ屋が何人も出現
場内が暗くなると、バンド・メンバーが出揃う前にディアンジェロが一人でステージに登場、ファースト・ナンバーの「Prayer」を歌い出します。前座のパフォーマンスはなし、いきなり大将が出てくるあたり、さすがリアル・ミュージシャンの拘りが伝わります。
実は、ハーレム125丁目にあるアポロ劇場でディアンジェロが歌うのは初めてではありません。ディアンジェロを名乗る前、16歳のマイケル・アーチャーは故郷のヴァージニア州リッチモンドから半日かけてハーレムにやってきました。目的は、アポロの「アマチュア・ナイト」に出演すること。「ハーレムのオーディエンスは怖い、ブーイングの嵐になったらどうしよう」、そんな心配をよそに、マイケル青年はみごと優勝しました。
あれから20数年経った今、懐かしのアポロ劇場の舞台で「ディアンジェロ& the Vanguard」コンサートを開催するに至りました。キャパシティのもっと大きいハコで公演することだっていくらでもできますが、やはり腐っても鯛、マイケル・ジャクソンが大ブレイクしたハーレムのアポロ劇場を制覇せずに世界を制覇することはできないのです。「ワッツ・アップ・アポロ~!」ステージから叫ぶディアンジェロと観客が一体になりました。ライヴ・パフォーマンスは新しいアルバム、「ブラック・メサィア」からの曲が中心でしたが、私たちの大好きな「ブラウン・シュガー」もアレンジを変えて披露してくれたりと、大サービス。
「ブラック・メサィア」はディアンジェロ&ザ・ヴァンガード名義で出していることからもわかる通り、ライブも「バンド」としてのサウンドを全面に押し出しています。ヴォーカルもソウルフルなディアンジェロ節は健在ですが、ファルセットやジェームス・ブラウンばりの魂の叫びを散りばめた、さらにファンキーなサウンドがさく裂します。バンド・メンバーには錚々たるミュージシャンたちが参加しています。ベースにはピノ・パラディノ(Pino Palladino)、リード・ギターはタイムのメンバーだったジェッシー・ジョンソン(Jesse Johnson)、ドラムはクリス・ディヴ、バック・シンガーのケンドラ・フォスターはジョージ・クリントンのファンカデリックで一緒にツアーをしたことのある実力派です。「Voodoo」アルバムのヴァイブを進化させ、さらにバンド・リーダーとしても成長したディアンジェロのライヴははやり「最高」です!
“Prayer” “A Thousand Deaths” “Ain’t That Easy” Vanguard Theme “Feel Like Makin’ Love” Claire Fisher Interlude “Really Love” “One Mo’Gin” “Another Life” “Alright” “Brown Sugar” “The Charade” “Sugah Daddy”
“Lady” “Back to the Future” “Left and Right” “Chicken Grease/What It Do”
“Till It’s Done” “Untitled (How Does It Feel)”
伊藤 弥住子