音楽ファンにとってアメリカのテレビは情報源として欠かせません。コンサートのライヴ放送やアワード賞のパフォーマンス、トーク・ショーでもミュージシャンが頻繁に出演します。今、夜のトーク・ショーで熱いのが「The Arsenio Hall Showアーセニオ・ホール・ショー」です。先週はファンキーなプリンスが登場、通常はゲストが3-4人出演するのですがそこは天下のプリンス、オンリー・ゲストとして一時間たっぷりトークとパフォーマンスを披露してくれました。プリンスのコンサートを体験した人なら知っていると思いますが、オーディエンスも紫の服を着てファンク・ミュージックの王子様、プリンスに敬意を表します。この日のアーセニオ・ホール・ショーはパープルに身を固めたファンたちでいっぱい、プリンスを囲んで和やかなイベントを繰り広げました。
取材嫌いで有名なプリンスですが、ホストのアーセニオとは20年来の友達とあってジョークをとばしたり、リラックスした雰囲気でとてもレアなインタビューとなりました。プリンスが料理好きだったって知っていますか。ただし、得意なのはオムレツだけ。「だから、ぼくの友達はみんなコレステロールが高いんだ。」と笑わせてくれる場面も…….。新曲、「Funkroll」やクラシック、「She’s Always In My Hair」などパフォーマンスもたっぷり聴かせてくれました。
The Arsenio Hall Showアーセニオ・ホール・ショー
1989年に始まって大ブームになった「アーセニオ・ホール・ショー」、多くのブラック・ミュージシャンやエンターティナーが登場しました。「アーセニオ」への出演依頼は「スター」としての登竜門的存在でした。すでに大スターだったマイケル・ジャクソンはもちろんのこと、有名人の仲間入りをしたばかりのコメディアン、エディ・マーフィー、ラッパーの2パック、MCハマー、アイスT、ウィル・スミス、俳優のデンゼル・ワシントン、ボクサーのマイク・タイソンなどが出演しました。まだまだブラック・エンターティンメントの情報が少なかった90年代の始め、私もほとんど毎晩見ていたので、1994年に番組が打ち切りになって時はとても残念に思いました。
それが昨年2013年9月より復活、初期のアーセニオに出演するチャンスのなかったアーティストたちがゲストとして出演させて欲しいと依頼が殺到しているそうです。当時チャンスをのがしたPディディーが駆けつけ、「当時のオレはまだ有名じゃなかったからなぁ。アーセニオに出演するのがオレの夢だったんだ。」と告白、ちゃっかり自分のウォッカCirocの宣伝をして有頂天になっていました。
伊藤弥住子