Black History Month
Video Music Box 30周年記念イベント開催 @ Schomburg Center in Harlem
2月5日、ヒップホップPV番組のパイオニア、ラルフ・マクダニエルズの Video Music Box (VMB) 30周年を祝して記念イベントがハーレムのショーンバーグ・センターにて開かれました。アフリカ・バンバータ、メリー・メル、DJチャック・チルアウトなど昔の仲間たち総出で賑やかな集いとなりました。
え、そんな番組なんて聞いたことがない……?80年代に始まった「ボックス」はニューヨーク在住のヒップホップ・ファンだったら誰もが知っている人気番組でした。60分間ヒップホップやR&BのPVオンパレード、子供たちが学校から帰ってくる時間帯、午後の3時30分から毎日放映していました。私がNYに住み始めたのは84年、しばらくしてからこの「ボックス」の存在を知りました。いやぁ、たまげました。初期のビデオはシロウトがカメラを回しているのがはっきりわかるようなビジュアル的にはクウォリティーの低い内容でしたが、音楽はホンモノ、初めて見るブラック・コミュニティーのラッパーに衝撃を受けました。
当時はケーブルが普及しはじめたばかり、 BET (Black Entertainment Television) でもまだヒップホップは登場せず、ひたすら黒人男女が絡み合うセピア・カラーのR&Bミュージック・ビデオをフィーチャーした“Video Soul” しかありませんでした。MTV はマドンナやマイケル・ジャクソンといったポップ・アイドルばかり……。そんな時代に普通のチャンネルで見られるのが「ボックス」だったのです。
90年代になってウータン、ナズ、ジェイZ、ブラック・ムーンなどのラップ・ビデオが登場し、「ボックス」はゲトーのお茶の間のあいだでも大人気となりました。どこのレコーディング・スタジオでも3時30分になるとラッパーやエンジニアたちが作業を中止し、こぞってテレビの前に集まって番組を楽しんだものです。
その「ビデオ・ミュージック・ボックス」がすでに30周年を迎えただなんて、感無量………!アンクル・ラルフに大感謝です。この日のイベントではラルフが制作したVMBドキュメンタリー映画の試写も行われました。ビズ・マーキーやLLクールJ、ビギー、2パックなど昔の映像が満載。みんな若い……..!「lllmatic」を発表したばかりのナズにラルフがインタビューする場面が映しだされ、「将来、どんな人と一緒に仕事したい?」と質問されたナズ、思いもよらなかったのか、一瞬言葉を失いしばらくして、「う〜ん、ビートルズかな。」と答えました。見ていた私たちは爆笑!
ラルフ・マクダニエルズというのは凄い人で、30年にわたってこの番組を制作、放映し続けたばかりか、ウータンの”C.R.E.A.M.” や、ナズの“It Ain’t Hard to Tell”、ブラック・ムーンの “Who Got Da Props?” など、400本以上ものミュージック・ビデオの監督もしているのです。あのハイプ・ウィリアムズもラルフの下で修行を積んだそうです。ラルフの作ったVMBドキュメンタリー映画、是非みなさんに見てほしいと思います。詳細については追ってまたレポートしますのでヨロシク。
アンクル・ラルフ、30周年おめでとう!
(伊藤弥住子)